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消化器外科 主な疾患(膵がん)

膵癌

膵癌と特徴・働き

膵臓はみぞおちと臍の中間あたりにあります。横に細長い臓器で、頭部、体部、尾部に分けられます。周囲には十二指腸、胆管、肝門脈、下大静脈、脾動脈・脾静脈、胃、大動脈、脾臓、腎臓、大腸などの臓器に囲まれています。膵臓には以下の大きい二つの働きがあります。

①外分泌能・・・食べ物を消化する消化酵素である膵液を分泌する機能

②内分泌能・・・血糖の調節に必要なインスリン、グルカゴンなどのホルモンを分泌する機能

膵液は健康な膵臓で1000ml/日以上分泌される無色透明の液体です。唾液、胃液、胆汁とともに消化液の一種です。膵臓内を貫通する主膵管を通って十二指腸乳頭から十二指腸に分泌されます。多くの膵臓の病気では、膵液の流れが悪くなると膵管の拡張が認められることがあります。代表的な病気として膵臓がん、膵臓の嚢胞性疾患(IPMN,MCN,SCN)や慢性膵炎などがあります。
膵臓にできるがんには、その成因から膵管癌、腺房細胞癌、神経内分泌腫瘍、そして膵臓嚢胞性疾患より発生する癌などがあります。

治療法

膵癌の治療法として1)手術、2)化学療法、3)放射線療法があります。

切除可能な段階での膵がんの治療は、手術療法と抗がん剤による加療が中心となります。手術療法はがん周囲の組織を身体から取り除く治療で、抗がん剤は全身に対する治療です。昨今はどちらも同等に重要です。手術で取り除ける範囲というのは限界があり、がん細胞の分布がその取り除ける範囲におさまっていれば手術単独で完治することも理論上はありますが、膵がん細胞は手ごわく、目には見えません。そこで、どんなにCTなどで小さくみえる膵がんであっても先に抗がん剤で全体を叩いてから手術を行った方が完治しやすい事が分かっているため、当科は術前化学療法を推奨しています。膵臓の手術は病変の部位により主に以下の2種類があります。

 

・膵頭十二指腸切除術

膵頭部と十二指腸を主に取るのでこの名前がついています。実際には、十二指腸、膵頭部、胆管、胆嚢、胃の一部、を合併して切除し、それぞれを再建と呼ばれる縫い合わせる操作を行います。切除する臓器も多く、一般的には難易度が高い手術とされています。膵液による術後の合併症予防も重要です。当科では安全性と根治性に十分注意を払い、各患者様にとって最善の方法を選択しています。

・膵体尾部切除術

膵体尾部にがんが存在する場合、膵体尾部切除、脾臓合併切除を施行します。この場合は再建がありません。それでも膵を切った断面からの膵液による合併症はあり得ますが、当院では腹腔鏡でも行っています。特にIPMN、MCNなど、膵管癌に比べると悪性度の低い腫瘍に対してはほぼ全例に腹腔鏡で行い、かつ脾臓も切除せずに残す手術を積極的に行っております。

 

当科は安全かつ的確な術式選択と膵臓手術の合併症の低減に努めています。