診療科・部門一覧

外科・消化器外科・乳腺外科

お知らせ

少ない来院回数で、初診から手術までの時間を短縮するExpress外来をはじめました。

ご挨拶

外科廣川医師

2022年4月1日より市立大津市民病院の外科診療部長として着任した廣川文鋭です。
私は1993年に和歌山県立医科大学を卒業し、同大学ならび関連病院で消化器外科学全般の研鑽を積み、2000年には京都大学で肝移植、2004年からは和歌山県立医科大学高度救命救急センターで外傷・腹部外科のチーフとして勤務し、2006年から大阪医科薬科大学で、肝移植ならび肝臓・胆道悪性腫瘍の治療を中心に診療してまいりました。
そして肝胆膵領域の手術は、約1500例(内600例の高難度手術)を担当し、血管合併切除再建などの拡大手術だけでなく、当時困難とされていた腹腔鏡手術も全国に先駆け導入し、国内トップクラスの症例数を経験しております。また消化管領域におきましても、大阪医科薬科大学は全国屈指のhigh volumeセンターであり、豊富な症例に対峙してまいりました。

この4月から大津市民病院で、私と消化管のexpert医師2名そして女性医師1名の計4名が新たに加わり診療を行っております。今回の騒動は深く知り得ませんし、診療には全く関係無いことであり、今後も我々大津市民病院の消化器外科は、
1)患者さんから治療を受けて良かったと満足していただくこと
2)研修医・専攻医から、一緒にがんばってみたいと思われること
3)他の病院から、良い意味で“大津市民病院恐るべし”と言われる様な消化器外科チームを目指し
病院一丸となり『大津市民の健康』を守っていく所存であります。何卒よろしくお願いいたします。

2022年4月 廣川 文鋭

 


 

外科・消化器外科

外来診療担当表はこちら

食道がん 胃がん 大腸がん 肝臓がん 膵がん 鼠径ヘルニア、腹壁瘢痕ヘルニア 肛門疾患

女性医師による女性外科外来

腹直筋離開に対する治療

雑誌掲載情報

  • Newsweek日本版 SPECIAL ISSUE 世界の最新医療2021(CCCメディハウス)』に「最新ロボット手術で市民のがん治療に貢献する」と題して当院の記事を掲載しました
  • 手術数でわかる いい病院2021(朝日新聞出版)』の‘‘大腸がんの最新治療”の頁に当科の記事を掲載しました
  • 最新治療データで探す 名医のいる病院2021(医療新聞社)』の‘‘最新の大腸がん治療”の頁に当科の記事を掲載しました

メディア掲載情報はこちら


2019年11月より、直腸がんに対するロボット支援手術を開始しました。

乳腺外科

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乳がん検診

乳がん

2020年10月より、女性乳腺外科医が着任しました。

診療内容・特色

当科は日本外科学会専門医制度修練施設・指定施設、日本消化器外科学会専門医制度指定修練施設・認定施設です。日本内視鏡外科学会技術認定医(2名)および日本肝胆膵外科学会高度技能指導医も在籍し、各学会専門医・指導医が患者さんの治療を行なうと同時に、外科を志す研修医・外科専門医・消化器外科専門医の育成も行なっています。大津市の基幹病院として、滋賀県をリードできる最先端の外科チームをめざしています。

  1. 食道がん、胃がん、大腸がん、膵臓がん、肝臓がん、乳がん、胆石、ヘルニア(脱腸)、痔など、あらゆる外科領域の手術を行います。
  2. 患者さんに優しい、最先端の「内視鏡手術」「ロボット手術」を行います。
  3. 特に「がん」の患者さんの手術では、「待たせません」。
  4. 患者さんに最適な化学療法を提案します。

「外科手術」となると、患者さんにとっていちばん心配なことは、「痛い」「しんどい」「入院が長い」「キズが大きく残るのはイヤ」などでしょうか。当院ではこれらを克服しうる内視鏡(腹腔鏡・胸腔鏡)手術を積極的に取り入れ、2016~2017年は緊急手術を含めて食道切除術100%、胃全摘術100%、幽門側胃切除術95%、結腸切除術85%、直腸切断術及び切除術87%、胆嚢摘出術96%、虫垂切除術(いわゆる盲腸)100%、成人鼠径ヘルニア(いわゆる脱腸)手術77%、小児鼠径ヘルニア手術100%、肝部分切除術50%と圧倒的な内視鏡手術の割合となっており、年々その比率は高まっています。内視鏡手術には高度な技術が要求されますが、当院には日本内視鏡外科学会技術認定医が2名在籍し、安全性に十分配慮した正確な手術操作を心がけています。

合併症や事故が全国的に多数報告され、安全の確保のためには高度な技術が要求される内視鏡手術において、当科ではいかに研修医の修練施設とはいっても技術的に未熟な状態で執刀させるような診療体制はとっておりません。

高度鏡視下手術トレーニングセンター」は、”若手医師が実臨床で術者足りうる鏡視下手術の基本技術を身につけるためのトレーニング施設”です。当科では2019年1月から、日本内視鏡外科学会・技術認定医の資格が未取得の場合、当センター所定の技術テストにおいて認定された外科医のみが執刀できるシステムとしました。

【2022年4月1日現在】
・日本内視鏡外科学会・技術認定医:平井 健次郎、戸田孝祐
・高度鏡視下手術トレーニングセンター合格医:岡部 あさみ

「がん」は急速に大きくなります。診断がついても手術を待っている間にもどんどん成長しますので、診断がついたときと手術予定日では病気の状態が大きく変わっていることがあります。当科では特に「がん」の患者さんは最優先に手術日程を組みますので、検査所見がそろっていれば1~3週間以内に手術可能です。

昔とちがい、転移のあるがんでも化学療法(いわゆる抗がん剤治療)をうまく行えば治すことが出来る時代になりました。当科では消化器がん、乳がんに対するガイドラインに基づいた化学療法を積極的に行っています。何十、何百とある選択肢の中から、患者さんのライフスタイル、御希望にあわせた、出来るだけ副作用の少ない治療法を提案します。他院で手術を受けられた患者さん、他院で化学療法を行っている患者さんも受け入れ可能です。

診療の特長

当科ではあらゆる消化器疾患に対する外科治療を安全に提供することをモットーに消化器内科と連携して日々診療にあたっています。穿孔性腹膜炎、急性虫垂炎などの緊急消化器疾患には24時間オンコール体制をとり、地域の緊急医療を支えています。がん治療には特に力をいれており、食道がん、胃がん、大腸がん、肝がん、膵がんの各領域で専門医による最先端のがん治療体制を整えています。体の負担の軽く回復の早い腹腔鏡手術を積極的に取り入れ、消化管のがんに対する腹腔鏡手術の施行率は県下トップクラスで豊富な経験を有しています2016年には手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」による胃がん手術で県下唯一の先進医療認可を取得しました。また2019年11月からはロボット支援下の直腸癌手術も開始いたしました。

各領域がん治療の特長

食道がん

化学療法・放射線療法も含めて最先端の治療手段がそろっています。

手術では完全内視鏡下手術を導入していますので、多くの場合、頚部を切開せず、胸部・腹部の小さなきずだけで、がんを精密に取り除くことができます。

胃がん

回復が早い、痛みが少ない、合併症が少ないという利点のある腹腔鏡手術や最新のロボット支援手術により、安全かつ精密にがんを切除します。 転移を伴う進行がんには、治癒率の向上を目指して、手術の前後に抗がん剤治療を併用するなど個々の病状に応じた治療を提案しています。

大腸がん

腹腔鏡手術を用いた精密な手術を行うことで、がんをきれいに切除しつつ、細かい自律神経を残し、性機能や排便・排尿機能を温存しています。下部直腸がんに対しては、放射線化学療法を手術前に併用することにより、確実な局所治療を行い良好な成績を収めています。また括約筋間切除術によりを導入しており、肛門温存が可能となっています。2019年11月からはロボット支援下の直腸癌手術を開始し、さらに精緻な剥離操作、リンパ節の廓清操作が可能となりました。

肝臓がん

最新の3次元画像解析システム「VINCENT」を用いた詳細な手術シミュレーションや、VIOシステムやCUSAなどの手術機器の駆使により原発性肝がん、転移性肝がんの高難度手術を安全に施行しています。手術困難例でもこうした工夫に加えて、血管合併切除再建などの先進手技を導入することにより切除できる場合があります。

膵がん

進行した状態で発見されることが多いがんですが、なるべく長期の生存が目指せるように、がんが浸潤した血管を合併切除するなどして積極的に切除を行っています。 手術後は早期に回復して抗がん治療が行えるように、術後早期経腸栄養など最新の周術期管理を取り入れています。

一般外科治療の特長

鼠径ヘルニア腹壁瘢痕ヘルニア

鼠径ヘルニアや腹壁瘢痕ヘルニアに対して「腹腔鏡下ヘルニア修復術」を積極的に行っており、年間100例前後の手術実績を有しています。

全身麻酔下に腹腔鏡でおなかを内部から観察して腹壁の弱くなった欠損部にメッシュという人工の膜をあてて補強する手術ですが、従来法よりも小さい創で痛みが少ないことから患者さんの満足度が高い術式です。

おしり(肛門)の病気について

肛門疾患でお悩みの方へ

肛門疾患には様々な種類がありますが、実際には悪性腫瘍や泌尿器系もしくは婦人科系の疾患(病気)が隠れていることもあり総合的に診断する必要があります。また、排便機能に関連する部分であり将来を考えて治療をする必要もあります。できる限りプライバシーに配慮し診察させていただきますのでお気軽にご相談ください。

☆当院の特徴☆

  • できる限り患者さんにとって一番よい選択ができるようにサポートします。
  • 外科専門医が対応します。
  • 総合病院の特色を活かし悪性腫瘍を含め様々な疾患に対応できます。
  • 必要に応じて他科と合同で治療を行います。
  • 全身麻酔が必要な手術にも対応できます。
  • ALTA療法習得医が4名在籍しています。

肛門疾患の可能性がある症状

・痛みの有無に関わらず排便時に出血が続いている→痔核、切れ痔の可能性があります。
・排便後に肛門から何かが出て毎回押し込んで戻す必要がある→痔核、直腸脱の可能性があります。
・切れ痔を繰り返して肛門が狭くなり便がでにくく感じる→肛門狭窄の可能性があります。
・肛門周囲に痛みがあり、腫れているもしくは膿がでている→肛門周囲膿瘍、痔ろうの可能性があります。
・便が漏れる→直腸脱の可能性があります。

*実際には診察、検査を行ってみないと正確な診断は出来ませんので上記は参考程度にお考えください。

痔の種類
肛門疾患の治療について

大きく分けて3種類に分かれます。

・保存的治療
・内痔核に対する切らない治療(ALTA療法
・手術療法→疾患に応じた手術を行います。麻酔は局所麻酔から全身麻酔まで全身状態や治療法に合わせて柔軟に対応いたします。

ALTA療法について

脱出する内痔核(いわゆるいぼ痔)に対しては、手術による切除が標準治療でしたが、当院では、「切らずに治す」ジオン(ALTA)注射療法を取り入れています。従来の手術法に比べ痛みや出血が少なく、長期入院を必要としないなどの多くのメリットがあります。

*痔の種類によっては適応とならないこともあります。
*妊娠している可能性がある、妊娠中、授乳中の婦人はこの治療は受けられません。

ALTA療法について
直腸脱・骨盤内臓脱

高齢女性に多いのが、加齢などによる骨盤底筋の低下で直腸が肛門から出てきてしまう「直腸脱」という病気です。他の疾患を併発することもあるので、慎重な診断と治療が重要になります。当院では直腸脱だけでなく、泌尿器科と合同で骨盤内臓脱(膀胱脱や子宮脱)の治療にも積極的に取り組んでおり、痛みや傷が小さい腹腔鏡手術で行っています。

肛門外来 毎週金曜日 午前・午後

胆石症・胆嚢炎

急性虫垂炎

腹部救急疾患(イレウス・NOMI)

 

「女性外科外来」-女性医師が対応します-

「女性外科外来」-女性医師が対応します-

女性外科外来では、乳腺疾患のほか、痔や肛門病変、鼡径ヘルニアなど、男性医師に相談しにくい疾患や、恥ずかしさから女性にとって受診のハードルが高い疾患について、女性医師が対応いたします。

小児鼡径ヘルニアにも対応していますので、ご自身が受診される際にご相談ください。

乳腺外科を見る

「切らず痔を治す」ジオン(ALTA)注射療法を見る

ヘルニアの治療を見る

女性外科外来 毎週月曜日 午前 担当 深山華子医師

主な症例(手術)と件数、臨床実績

手術症例数推移(各年1月~12月)

(単位:例)

手術数 2018年 2019年 2020年
全手術数 602 588 495
鏡視下手術(EMR・ESDは除く) 390 398 342
全麻手術数 504 506 408
緊急手術数 123 108 81

(単位:例)

術式別手術数(そのうち鏡視下数) 2018年 2019年 2020年度
食道切除術 - 5(5) 2(2) 0(0)
幽門側胃切除術 (幽門保存含む) 19(18) 18(18) 12(10)
胃全摘術 (噴門含む) 5(4) 14(12) 7(5)
胃部分切除術 - 2(2) 0(0) 3(2)
結腸切除術 - 62(48) 65(53) 53(38)
直腸切断術 - 25(25) 10(10) 25(21)
直腸切除術 (骨盤内蔵全摘含む) 3(3) 2(2) 2(2)
乳がん手術 - 49 42 29
胆のう摘出術 (総胆管切石術含む) 89(85) 80(78) 82(79)
虫垂切除術 - 46(46) 60(60) 38(38)
成人ヘルニア手術 (鼡径・大腿・腹壁ヘルニア) 65(62) 62(57) 78(68)
小児ヘルニア手術 - 3(3) 3(3) 0
良性肛門疾患手術 (痔核・脱肛など) 25 24 22(1)

肝胆膵領域の手術実績(手術件数)

肝切除術(肝臓がん・胆のうがん・胆管がんなどに対する)
術式別手術数(そのうち鏡視下数) 2018年 2019年 2020年
葉切除以上 3 7 2
区域切除・亜区域切除・外側区域切除 3 2 5
部分切除(肝床部切除含む) 4(2) 11(3) 9(1)
総数 10(2) 20(3) 16(1)
膵切除術(膵臓がん・IPMNなどに対する)
術式別手術数(そのうち鏡視下数) 2018年 2019年 2020
膵頭十二指腸切除術 11 4 3
膵体尾部切除術 5 2 2
膵全摘術 1 1 0
膵中央切除術 0 0 0
膵部分切除術 0 0 0
上記のうち血管再建を伴うもの 2 0 0
総数 17 7 5

疾患別術後5年生存率

工事中

NCD症例登録について(PDF 148KB)

腹腔鏡・手術支援ロボットを用いた胃がん手術

胃がんに対する腹腔鏡手術は、術後の痛みが少なく、手術合併症も少ないという利点があり、胃切除術では全国平均で約40%まで普及していますが、進行がんへの適応は進んでいません。長期予後に関するデータが乏しいことが理由のひとつですが、手術手技が複雑で難度が高いことも大きな理由です。進行胃がんに対する手術では切除範囲も大きくなり、がんを正確に切除するために、より複雑な操作が必要になります。こうした高度進行胃がんに対する腹腔鏡手術の手技の安全性を検証するため、当院前任の岡部(現 新東京病院 外科)は前任の京都大学で5年間にわたり進行がんに対する臨床試験を行い、安全性を証明するとともに進行がんに対する手術技術を確立しました。患者さんの満足度も非常に高く、手術合併症の減少や体力低下の軽減などの効果も期待できるため、患者さんと手術方法を十分相談したうえで可能な限り腹腔鏡手術を行っています。

腹腔鏡・手術支援ロボットを用いた胃がん手術

従来の開腹手術では約30%に合併症が起きていましたが、腹腔鏡手術の導入により合併症率は約20%に低下しました。近年、腹腔鏡手術に新しい技術である手術支援ロボットを用いることによって、より精密で体にやさしい手術が可能であることがわかってきたため、当院では2015年より「ロボット支援胃切除術」も行っています。本法は胃がんの手術方法では最先端の技術を用いた方法で全国でも限られた施設でしか導入されていません。当院では、十分な経験のもとにより安全な手術を行います。現在は健康保険がきかないため自費診療となりますので、詳細については担当医にお問い合わせください。

腹腔鏡・手術支援ロボットを用いた胃がん手術

胃がん治療について

完全内視鏡下食道がん手術

食道がんに対する食道切除術は、外科手術の中では最大の侵襲を伴う手術です。本邦の報告では概ね50%に何らかの合併症が生じ、最新の全国統計でも術後在院死率は依然3%を上回っています。術後の主な合併症は、栄養不良による縫合不全と肺炎で、肺炎の原因は術中に肺の虚脱や圧排を行うことによるダメージや、気管周囲と頚部リンパ節の郭清操作により嚥下機能が悪化することによる誤嚥が主なものとされています。 胃がんや大腸がんに対する腹腔鏡手術と同様に、食道がんに対しても胸腔鏡手術を導入することにより、侵襲を減らして合併症を減らそうという試みはすでに1990年代から行われてきました。しかし、胸腔鏡手術により、体表の手術創は小さくなっても、術中に肺虚脱や圧排を要することは変わらず、頸部郭清による嚥下機能の低下も避けられません。 私たちは、胸腔鏡下手術の際に、より術中無気肺を少なくして肺にダメージの少ない手術を行うため、患者さんの体位を腹這い(腹臥位)として、さらに腹腔鏡手術と同様に二酸化炭素を送気して「人工気胸」状態とすることにより肺を虚脱させて手術する方式をとりいれました。本法により手術中に片肺換気にする必要はなくなり、肺を直接物理的に圧排する必要もなく術野が得られるようになり、術後の肺炎発生率が大幅に減少しました。海外では最近本法を用いた胸腔鏡手術と従来型の開胸手術とのランダム化比較試験が行われ、術後の肺炎発症が有意に減少したことが示され、本法の有用性が明らかになっています。 また、頚部と胸部の境界部(頚胸境界部)のリンパ節は食道がんでは非常に転移率が高いため切除が必要で、従来は頚部から切除していましたが、胸腔鏡での手術経験を積むことによって、食道沿いの頚部リンパ節は胸腔側からほぼ切除が可能なことがわかってきました。現在の胸腔鏡食道がん手術は、多くの施設で頚部を切開してリンパ節切除と食道胃管吻合を行っていますが、頚部切開とリンパ節切除は少なからず術後の嚥下機能の低下に関わっていると考えられます。私たちは胸腔鏡下に食道と胃管を吻合する技術を開発して、リンパ節郭清範囲は従来のまま、頚部の切開を省略することに成功しました。胸腔内の食道胃管吻合は胃管のより血流の良い箇所で吻合ができるため従来から縫合不全率が低いと言われており、縫合不全は約1%と極めて低率になりました。

完全内視鏡下食道がん手術

私たちの術式は胃管の作成と腹部リンパ節郭清も、胃がん手術の技術を応用して、完全腹腔鏡下に行うため、術後の創部はごく小さいもののみになります。こうした工夫により、術後の肺炎と縫合不全などの合併症発生率が低くなり、従来手術が難しかった高齢の方や栄養不良の患者さんでも手術の安全性が高まり、治療選択肢が広がりました。食道がんの治療についてはぜひご相談ください。

完全内視鏡下食道がん手術

食道がん治療について

当科の大腸がんに対する治療戦略

当科では早期大腸がんはもちろん、進行大腸がんに対しても腹腔鏡手術を基本とした手術治療と、放射線や化学療法を組み合わせた集学的治療を行っています。また、腹腔鏡による大腸がんの治療効果が開腹手術に劣らないことは臨床試験で証明されています。年間約90例の腹腔鏡下大腸がん手術(全体の8割)を行っており、最近では高齢の患者さん、腹部手術術後の患者さんにも安全に行っています。また2019年11月からは直腸癌に対するロボット支援下手術を開始しました。腹腔鏡手術には次のようなメリットがあります。


  • 創が小さく、術後の回復が早く、手術後の患者さんの満足度が高い。(図1)
  • 従来の開腹では見えなかった解剖(血管や自律神経)が見えるため、手術中の出血量の軽減や従来の開腹手術よりも性機能や排尿機能の温存が見込まれる。(図2)
  • 腸管の乾燥がほとんど無く、腹腔内癒着が少ない。よって術後の腸閉塞が少ない。
  • 腹腔内全域の観察が可能なため、CTやMRI、PETなどで判らない転移も見つかることがある。よって正確なステージ(病期)診断が可能となり、より適切な術後化学療法や肝臓転移の治療を行うことが出来る。(図3)
  • そして・・・現在の大腸がんに対する化学療法の進歩はめざましいものがあります。多発肝転移や肺転移を伴う大腸がんに対してはまず、腹腔鏡下に大腸がんを切除、その後化学療法を行い切除可能になれば積極的な肝切除、さらに当院呼吸器外科による胸腔鏡下の肺切除を行っています。
  • 切除困難な多発肝転移に対して化学療法後に根治切除を行った症例です。(下リンク)
    化学療法が著効し根治切除可能となった多発肝転移の患者さん
    この症例のようにすべての患者さんが化学療法により切除可能となるわけではありませんが、可能な限り癌の根治を目指して治療を行っています。

図1

腹腔鏡下大腸切除の写真(S状結腸切除)
腹腔鏡下大腸切除の写真
(S状結腸切除)
開腹右半結腸切除の写真
開腹右半結腸切除の写真

腹腔鏡では、どこのがんであれ同じ程度の創の大きさです。
開腹ではがんの部位により多少の創の上下はありますがこのくらいの大切開が必要です。


図2:直腸がん手術の手術画像

図2:直腸がん手術の手術画像
腹腔鏡下大腸切除の写真
(S状結腸切除)
下腹神経は性機能や排尿機能に重要な役割をはたしています。そこから直腸に枝を出していますが、通常この手術では下腹神経の直腸に向かう枝だけを切離していきます。下腹神経を損傷すると性機能や排尿機能障害を来します。鉗子の太さが5mm程度ですので2~3mmのものを残しています。ハイビジョンシステムを利用した大画面で精密に血管や神経を見て、このような神経を温存します。

図3

進行S状結腸がんの手術画像
進行S状結腸がんの手術画像
CTやMRIで見つからない3mm程度の肝転移
CTやMRIで見つからない
3mm程度の肝転移

直腸癌に対する集学的治療(術前化学放射線療法 CRT)

直腸癌に対する肛門温存手術(括約筋間直腸切除術 ISR)

大腸がんで当院を受診される皆様へ

  • 大腸がんと宣告された患者さんは大変驚かれ、ショックを受けられていることと存じます。まずは正確な病状診断と、他にご病気がないか全身の検査が必要です。正確な病状を把握し、適切な治療を提示致します。
  • ここでは腹腔鏡手術のことを主にお伝えしましたが、お体の状況、緊急性(大腸穿孔、閉塞など)、がんの病状によっては開腹手術が望ましい状況もあります。患者さんひとりひとりに適切な治療を選択致します。
  • 患者さんに適切かつ精神的にも満足な治療を受けて頂くことが最も重要なことと考えております。もし、 他院にセカンドオピニオンの御希望があるときには遠慮無く仰ってください。私どもは誠意をもって対応致します。詳しい大腸がんの病状、治療を知りたい方は、大腸がん治療についてをクリックしてください。

大腸がん治療について

肝胆膵領域の高度進行がんの手術

一昔前までは肝臓がんや膵臓がんなどの肝胆膵領域の悪性腫瘍は、その悪性度の高さ、あるいは非常に複雑な解剖構造ゆえに手術の適応となる症例は少なかったのですが、最近は診断技術の進歩とともに早期診断および早期治療できる症例が増えてきています。また進行した状態であっても、適応があれば当院では積極的に手術治療を行っています。 原発性肝がんや転移性肝がんに対し最も根治的な治療法は手術ですが、肝臓切除手術では大量の出血を伴う危険性があり、どこの病院でも安全に行えるというものではありません。「出来るだけ多くの量を残したい重要な臓器」としての肝臓に対して、いかに工夫してがんの取り残しがないように、なおかつ出血を抑えて安全に切除できるかがポイントになります。安全な肝切除術を行うにはまずは外科技術の向上が重要ですが、同時に徹底的な術前の肝機能評価およびMDCT、MRI、PETなど各種検査機器、画像診断装置による手術デザインの検討が必要です。そして手術に際しては種々の高度手術機器の整備が必要ですが、幸い当院には必要十分な機器類がいつでも使用できるよう整備されています。 画像診断装置による精査は、肝胆膵領域の腫瘍に対して安全な手術を計画するうえでは大変重要ですが、当院では3次元画像解析システム「VINCENT」を用い、腫瘍の局在、血管や脈管との位置関係、また切除する範囲の容量の評価などを詳細に検討したうえで手術を行うようにしています。 特に複雑な症例に対しては、64例マルチスライスCT(MDCT)により得られた画像データをドイツ・ブレーメンの医用画像研究所である「MeVis」と協力して肝動脈・門脈・肝静脈の三次元画像として再構成し、脈管の支配領域を計算・グラフィック化することにより、肝切除を行う際にどのような切除法で臨めば根治性と機能温存を両立できるかを綿密に検討することも可能です。 (図-1A~D)

肝胆膵領域の高度進行がんの手術
肝胆膵領域の高度進行がんの手術
肝胆膵領域の高度進行がんの手術
肝胆膵領域の高度進行がんの手術

原発性肝がんに対しては術中エコーによる系統的肝切除を追求し、CUSA(超音波吸引装置)、LCS(ハーモニックスカルペル・ソノサージなど超音波凝固切開装置)、VIOシステム(ソフト凝固およびバイクランプによる血管シーリング)などの高度手術機器を駆使した安全な肝実質切離と止血が行えるように工夫しています。(図-2,3)


肝胆膵領域の高度進行がんの手術
肝胆膵領域の高度進行がんの手術

膵臓癌に対する手術として膵頭十二指腸切除術が行われますが、合併症として膵液漏をおこした場合には時として致命的な経過をたどります。その再建方法として当科では従来の方法に改良を加えた術式を採用しています。従来の二列法(膵実質空腸漿膜筋層縫合)を基本とし、主膵管内にステントチューブを完全外瘻として留置、さらに膵管空腸粘膜縫合も加える術式であり、膵液漏の予防が期待できます。当科では2013年以降、特に主膵管の細い症例(一般的に膵液漏をおこしやすい)に対してこの再建術式をおこなっていますが、臨床上問題とされているGrade BおよびCの膵液漏発生率が極めて低いという良好な結果を得ています。

胆膵領域の複雑な腫瘍切除をおこなうには外科手術手技の向上や手術機器の整備だけではなく、病院全体としてのサポート体制が必要です。当院には麻酔科との密な連携・協力、ICUでの周術期管理体制があり、このような複雑ながん手術を行うにあたって十分な環境が整っています。肝腫瘍や膵腫瘍を認める場合、ご遠慮なく受診していただければと思います。

疾患によっては肝胆膵領域にも内視鏡手術を積極的に取り入れ、安全性と根治性を両立した「キズの小さな」「患者さんに優しい」治療法を工夫しています。


基礎疾患を伴う患者さんの治療

図-1

社会の高齢化に伴い手術が必要な患者さんの中で、非常に高齢の方や心臓や肺、腎臓などの基礎疾患をお持ちの方が増えています。このような患者さんの手術を安全に行うには心臓内科、腎臓内科、麻酔科や検査技師、臨床工学士との密接な連携と、よく整備された質の高い集中治療室を持つことが必須です。当院では心筋梗塞や心不全などの心臓疾患の既往をお持ちの患者さんや維持透析中の患者さんの手術症例が多く、このような患者さんの手術を安全に行うための万全の体制を整えております。

最近一つの疾患単位として認識されてきた病態で、心臓血管手術後や腎透析後に腹部血管の攣縮による血行不全により腸管が多発性に壊死に陥り、致命的な経過をとる非閉塞性腸間膜梗塞症(NOMI)という恐ろしい疾患があります。(図-1)

図-2

身体機能の低下した高齢者に発症しやすい致命率の極めて高い疾患で(40~70%の死亡率)、救命のためには早期診断と治療が重要です。当疾患に対してはかなり以前より注目し、われわれが提唱するMDCT(マルチスライスCT)とプロスタグランディンE1による早期診断・治療法(図-2,3,4)は日経メディカルにもとりあげられ(2006年6月号:トレンドビュー)、最近では米国で診断基準の一つとして認知されるようになってきました。この方法により国内国外を問わず多くの患者さんを救命することが可能になってきています。

図-2
図-4

ヘルニア外来を行っております。

当院では腹壁のヘルニア、特に鼠径ヘルニアや腹壁瘢痕ヘルニアに対して積極的に腹腔鏡下手術(全身麻酔)を行って、小さい創、術後疼痛の軽減に心掛けております。また、鼠径ヘルニアに対しては局所麻酔や脊椎麻酔(硬膜外麻酔や腰椎麻酔)による日帰り手術も患者さんの御希望により行っております。

全ての患者さんが腹腔鏡による治療が良いというわけではありません。
患者さん一人一人に対して最も適切な治療を選択するよう努めております。

腹壁のヘルニアとは?

腹腔内の臓器(腸管や肝臓、膵臓、脾臓など)は腹膜という薄い膜で覆われ、筋膜に包まれた頑丈な筋肉、そして皮下脂肪や皮膚で覆われています【図1】。

図1

腹壁のヘルニアとはその頑丈な筋肉の膜が筋肉と共に破綻し、弱くなったところに、伸びた腹膜(ヘルニア嚢)が膨隆(ふくれる)することです【図2】。この弱くなったところから腸管が飛び出すと、いわゆる「脱腸」ということになります。

図1

●どのようなタイプがあるの?

 

腹壁のヘルニアで最も多い疾患は鼠径ヘルニア(内鼠径ヘルニア、外鼠径ヘルニアがあります)、その次に多いのが腹部手術の腹部創部に生じる腹壁瘢痕ヘルニアです。他に大腿ヘルニア、高齢の女性に多い閉鎖孔ヘルニアなどがあります【図3】

図3

●治療は?

 

治療の原理はとても単純です。治療は、欠損した筋肉の膜をメッシュで補強します。【図4】
ただし、若年者(30歳以下くらいでしょうか?)の鼠径ヘルニアは出口が狭いことが多く、ヘルニア嚢を切除し、周囲の筋肉の膜を縫合するだけで治癒することが多いので、極力人工物は使用致しません。メッシュが男性不妊症の原因になる可能性があるからです。これに対してある程度の年齢の鼠径ヘルニアでは、これだけでは再発することが多く、メッシュという人工の膜をあてて治します。


鼠径ヘルニアの治療(TAPP、TEPP)
腹壁瘢痕ヘルニア
当院では腹壁瘢痕ヘルニアの腹腔鏡治療を積極的におこなっています。
過去に腹部の手術を受けた場合、あとになって縫合した腹壁(筋膜)が裂けて内臓が飛び出してくる病態です。不快感や痛みだけではなく、放っておくと急に腸閉塞になってしまう可能性もあります。
創の感染や、肥満・便秘による過度の腹圧などが腹壁瘢痕ヘルニアの発症原因となります。
自然治癒することはなく、当科では可能な限り腹腔鏡による修復術を行います。全身麻酔で3-7日程度の入院期間が必要です。他院で手術を受けた後に発症し、悩んでおられる方もご遠慮なく受診して頂ければご相談に応じます。
小児鼠径ヘルニアの治療(LPEC)
鼡径部(下腹部の足の付け根付近)が膨らんでくる疾患で、「脱腸」と呼ばれています。膨らみは泣いている時や排便時など、腹圧が高くなった時に見られますが、通常は自然に戻ります。しかし、膨らみが戻らず、激しい痛みを伴うことがあります。それを「ヘルニア嵌頓(かんとん)」といい、緊急手術が必要になる場合もあります。鼡径ヘルニアは嵌頓の危険性があるため、手術をお勧めします。当院では1歳以上のお子さんに日帰り入院での手術を行っています。
鼡径ヘルニアの手術には従来行われてきた、鼡径部を2~3㎝切ってヘルニア嚢の根元を糸で結ぶ手術(Pott’s法など)と、腹腔鏡下手術があります。

腹腔鏡下小児鼡径ヘルニア手術(LPEC)のメリットとしては、

・きずが小さいので目立たず、術後の痛みが少ない。

・反対側のヘルニアの有無が確認でき、発見した場合は同時に手術することが可能。

等が挙げられます。

すべての小児鼡径ヘルニアが、腹腔鏡下手術の適応ではありません。診察の結果で判断します。

腹腔鏡下での手術が困難と判断した場合には、途中から通常の手術(開腹手術)に変更する場合があります。 

図4

今後、より具体的な当院ヘルニア治療についての情報を提供していきます。
★★ 御期待下さい! ★★

「腹直筋離開」に対する治療

「腹直筋離開」に対する治療

妊娠出産後にお腹がぽこっと膨らんでしまう病態、「腹直筋離開」は日本では認知度は低く、疾患概念も定着していません。治療法も定まったものはなく、この疾患に悩んでいる潜在的な患者さんは国内に相当数おられるようです。 妊娠によって腹直筋の筋膜は過伸展しているものの欠損ではなく、腹壁瘢痕ヘルニアや白線ヘルニアとは病態は異なります。これにより美容的な苦痛だけではなく腹部不快感が続いたり、腰痛や尿もれの原因となる可能性も指摘されています。産後トレーニングなど保存的な治療法で改善しない場合には、当科では患者さんと十分な相談のうえ腹腔鏡下での修復術をおこなっています(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsa/77/3/77_657/_pdf/-char/ja)。

 

 

乳腺外科

乳がん検診 -早期発見・早期治療のために定期的に受診しましょう-

2017年のデータによると、特に40歳代の女性では、乳がん、子宮がん、卵巣がんの死亡が多く、乳がんは女性における死亡数が多い部位の第5位となっています。

2014年の罹患数(新たに「がん」と診断された数:全国合計値)では、乳がんが最も多く、女性の第1位となっていて、これは11人に1人の割合で乳がんになるリスクがあることを示しています。 ただ、2006年~2008年診断例において「乳がん」と診断されてから5年後に生存している人の割合(5年相対生存率:100%に近いほど、治療で生命を救えるがん)は91.1%と非常に高く、早期発見・早期治療が大切なことがわかります。(国立がん研究センター「最新がん統計」より)

早期発見・早期治療のためにも、定期的に「乳がん検診」を受診しましょう。

●どんな検査をするの?

マンモグラフィ:早期乳がんの発見に役立ちます

マンモグラフィ:早期乳がんの発見に役立ちます

マンモグラフィは、触診では診断が難しい小さなしこりや、しこりになる前の石灰化した微細な乳がんの発見など、乳がんの早期発見に有効です。

 

 

 

 

超音波(エコー)検査:若い人の診断に適しています

超音波(エコー)検査:若い人の診断に適しています

マンモグラフィに比べて小さなしこりや石灰化した微細な乳がんの診断は困難ですが、しこりの内部構造の鑑別がしやすいので、乳腺が密な若い人の診断に適しています。

 

 

 

●検査や検診はどこで受けられるの?

  • 乳腺外来(症状のある方が主な対象ですが、症状が無くても乳がんが心配という方もご相談に応じます)
  •  当院外来B受付でご相談ください。(077-522-4607)
  • 人間ドックのオプション検査【マンモグラフィ検査・超音波(エコー)検査】(症状のない方)
  •  当院健診センターでご相談ください。(077-526-8370)
  • 大津市乳がん検診(症状のない方)
  •  予約窓口:大津市保健所健康推進課 (077-528-2748)

 

QOLに配慮した乳がんの治療

当院乳腺外科の特長

乳がんは毎年増加傾向にあり、当科でも毎年30件を超える乳がん手術を行っています。

当院乳腺外科には下記の特長があります。

  • 週日は、毎日外来診察を行っています。
  • 乳がん診療チームによるカンファレンスを行い、治療を行います。
  • 抗がん剤投与は、明るくゆったりとした通院治療室で行います。
  • 手術では、乳房再建術が可能です。
診察・診断
  • 乳房の「しこり」「痛み」「乳汁分泌」などを自覚された方を主に対象としています。症状はないものの乳がんが心配という方もご相談に応じます。
  • 初診の方で受診当日に、マンモグラフィ(乳房X線撮影)・乳腺エコー(超音波)検査を行い、しこり(腫瘤)や乳汁分泌がある場合は、針生検または細胞診を当日に行うことが可能で、速やかに診断・治療につなげます。

治療方針

乳がんの治療といえば、かつては「手術」でしたが、現在では、がんの進行度や性質、それに加えて患者さんの希望をふまえて治療方針を決定します。実際には、下に示す治療を組み合わせて行うため、何通りもの方法があります。

局所療法:手術、放射線療法
全身療法(薬物療法):化学(抗がん剤)療法、ホルモン療法、分子標的療法


患者さんごとに状況が異なりますので、個別に方針を設定します。

乳がんの進行度

CTやMRI、RI検査により、しこりの大きさ、脇の下のリンパ節転移の有無、他の臓器への転移の有無によって進行の程度を表わし、病期(ステージ)を分類します

乳がんの性質

針生検や、手術で切除したがんの組織を、顕微鏡でくわしく調べ(病理検査)、治療方法の選択に必要な情報を得ます。

  • ホルモン感受性
  • エストロゲンレセプター(ER)
  • プロゲステロンレセプター(PgR)
  • 腋窩(脇の下の)リンパ節転移の有無と個数
  • がん細胞の悪性度
  • 脈管侵襲の有無(がん細胞が周囲の血管や、リンパ管に入り込んでいないかどうか)li>HER2タンパクの発現状況li>乳がんの増殖能(Ki-67)

進行度や、性質の結果から、再発のリスクを予想し、患者さんの全身状態(もともとある病気)や、月経のあるなしを考慮して治療方針を決定します。

日本乳癌学会の「乳癌診療ガイドライン」、St. Gallenコンセンサス会議、NCCNガイドラインを参考に、乳がん診療チームで一人一人の乳がんの性質を詳細に検討し、患者さんに応じた治療を決定します。

乳がんの手術

1.乳房温存手術

病期Ⅱ期以下の乳がんに対する標準的な局所療法です。

乳房温存療法ガイドライン(2005年)による温存手術の適応条件

1. しこりの大きさ:3cm以下、または整容性が保たれる(良い形で乳房が残る)のであれば4cmまで適応
2. 年齢:制限なし
3. リンパ節転移:有無や数に関係なし
4. 乳頭からがんまでの距離:関係なし
5. しこり(がん)が複数ある場合
しこり(がん)が近くに存在し、整容性と安全性が保たれるのであれば適応

手術の約60%が、乳房温存手術です。

がんとその周囲の乳腺を切除して、乳房をできるだけ良い形で残すことを目指します。乳房に傷を残さないようにするため、最近では、可能な限り乳輪に沿った小切開(傍乳輪切開)で手術を行うようにしています。(腫瘍の部位や大きさによっては、その他の切開方法を行うこともあります。)

乳房温存手術

手術中、切除した乳腺のへりにがん細胞がないかどうか、顕微鏡で調べています(術中迅速病理診断)。約1時間で結果が出ます。陽性であれば追加切除を行います。状況によっては温存できず、乳房切除に変更せざるを得ない場合があります。

大きながんを、抗がん剤やホルモン剤で小さくしてから、乳房温存手術を行うことがあります(術前化学療法)。抗がん剤投与は基本的に外来で行います。ベッドやリクライニングシート(テレビ有り)を完備した化学療法部で、がん化学療法看護認定看護師のもと、行うことが可能です。

化学療法部の詳細はこちら

乳房温存術後は原則として、術後、残した乳房に放射線療法を行います。(高齢の方や、膠原病のある方にはお勧めしないことがあります。)

通常、通院で25日間程度かけて放射線の照射を行います。(毎日少しずつ照射します。1回の治療に要する時間は、数分です。)


2.乳房切除術

乳房温存術が適応でない場合や、放射線療法を受けたくないというときには、胸筋温存乳房切除術や、乳輪乳頭温存全乳腺切除術を行います。


3.センチネルリンパ節生検

術前診断で、腋窩(脇の下の)リンパ節に明らかに転移が疑われる所見がない場合に施行します。通常は乳房の手術と同時に行います。

「センチネルリンパ節」とは、がんが一番最初に転移するリンパ節のことで、このリンパ節に転移がなければ、それ以外のリンパ節への転移がないという考えにより行う検査です。

当院では、現在色素法を用いてセンチネルリンパ節生検を行っています。

センチネルリンパ節生検

手術開始直前に、乳輪下に青い色素を注入し、脇の下を小さく切開して、青く染まったリンパ節を摘出して顕微鏡の検査(術中迅速病理診断)を行います。転移がなければ、腋窩リンパ節郭清(次項参照)を省略し、転移陽性であれば、腋窩リンパ節郭清を行います。 生検の感度上昇や時間短縮のため、近日、蛍光検出法の機械(PDE)を導入する予定となっております。


4.腋窩リンパ節郭清

「郭清」とは、決められた範囲のリンパ節をすべて取り除くことを言います。

術前診断で、転移が疑われる腋窩リンパ節が認められていたり、センチネルリンパ節生検で転移陽性であった場合に行います。 腕を動かす筋肉や、それらの血管や神経は切除しませんので、術後に腕が動かなくなることはありません。

摘出したリンパ節のうち、転移しているリンパ節の個数を調べて、治療方針の決定に役立てます。

腋窩リンパ節郭清に伴い、上腕のリンパ浮腫を生じることもありますが、がん治療専門看護師によるセルフケアの指導や、専門の理学療法士によるリハビリテーション・リンパマッサージを受けることができます。


5.乳房再建

手術により失われた乳房のふくらみや変形を、良い形に整える手術のことで、形成外科で行います。

乳がんの手術と同時に再建する方法と、初回手術後、一定期間の治療が終了した後に行う二期的再建手術があります。

当院には2013年度から形成外科が新しく開設され、乳房再建手術も可能となりました。

希望される方におきましては、随時ご相談の上、手術を計画いたします。


6.高齢者にやさしい手術

日本乳癌学会ガイドラインでは、高齢者でも手術を推奨しており、当科でも積極的に手術を行っております。(最高齢95歳)

当科ではかねてより、QOL(生活の質)を重視した治療方針をとっており、高齢の方に対する手術方法を分析検討しました。(第21回日本乳癌学会)

その結果、80歳以上の方の手術では、センチネルリンパ節生検も含めて、腋窩操作を行わない手術術式を基本としております。

乳がんの薬物療法

薬物療法の種類としては大きく分けて、抗がん剤、ホルモン剤、分子標的治療薬の3種類があります。

これらの薬をどのような時期に(術前・術後)、どのように(組み合わせ)使用するかは乳がんの性質と再発のリスクを考慮して決定しています。

不幸にして転移・再発された方にも、症状や再発部位(肝・肺・骨など)に合わせた、なるべく副作用が少なく進行を抑えることができる薬剤を使用しています。

疼痛に関しては、当院緩和ケア科医師・がん看護専門看護師と密に連携をとり、疼痛対策を行います。

緩和ケア

当院内には、がん看護専門看護師や心理カウンセラー(公認心理師)による緩和ケアチームがあり、担当医からの依頼により随時対応可能です。

終末期の方だけが対象ではなく、再発したとき、あるいは乳がんと診断されたときから、心のサポートを行います。 患者さんだけでなくご家族も含めて、ご相談いただけます。

乳がん診療チームカンファレンス

乳がんの診断・治療には外科医、放射線医、病理医、薬剤師、看護師、放射線技師、臨床検査技師、理学療法士、栄養士、メディカルソーシャルワーカーなど多岐に亘る職種の協力が必要となります。
当院では、乳がんの診療・治療に携わる職種が定期的にカンファレンスを行い、患者さん一人一人の乳がんの性質を詳細に検討し、患者さんに応じた治療を決定しています。

診察を受けられる方へ

当院では、乳癌学会認定医2名が診療にあたっております。

受診当日に、マンモグラフィ検査または乳腺超音波検査を施行し、その結果は当日に説明します。良性・悪性の鑑別のため精密検査が必要な場合は、細胞診や針生検も当日に行うことが可能です。

乳がんと診断された場合、乳房再建を含めた手術療法・薬物療法・リハビリテーション・心のサポートなどを当院で受けていただくことが可能です。

放射線治療は平成26年度再開しました。乳がんが心配な方や、乳房に関してお悩みの方は、症状の有無に関わらずお気軽に当院を受診してみて下さい。

医療関係者様へ

当院では、腫瘤や乳汁分泌の精査、乳がん検診後の精密検査、乳がんと診断された方の治療(手術・放射線治療・薬物療法)、転移再発の治療、乳腺炎などあらゆる状況の患者紹介を受け入れております(男性も含めて)。何なりとお気軽にご相談下さいませ。

医学研究の臨床診療へのフィードバック

現在は個々の外科医によるいわゆる「自己流治療」は通用しない時代です。消化器内科、放射線科など関係各科による徹底的なディスカッションを重ね、学会の定めたガイドライン(診療指針)およびエビデンス(医学的根拠)に基づいたハイレベルな診療を心がけ、クリニカルパスを活用しつつ患者さんの細かな要求にも対応できる、いわゆる「オーダーメイド治療」を実践していきたいと考えます。そのためには常に最新の医療エビデンスを臨床現場に取り入れることを心がけています。全国レベルの論文発表・学会発表を積極的に行い、臨床診療においても常に探究心を持ち、日常の診療がルチーンワークに終始しないように努力することによって最善の治療を患者さんに提供できると考えています。

当科スタッフの主な学会・研究会・講演(2012年以降分)(全国レベル)

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当科スタッフの主な学会・研究会・講演(2013年以降分)(地方レベル)

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当科スタッフの主な論文・投稿記事発表(2005年以降分)

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スタッフ紹介・学会認定医等資格

廣川 文鋭

役職診療部長
学会認定医等資格日本外科学会専門医、日本消化器外科学会専門医、日本肝胆膵外科学会高度技術指導医、日本胆道学会認定指導医

大住 渉

役職医長
学会認定医等資格日本外科学会専門医、日本消化器外科学会専門医、日本内視鏡外科学会技術認定医(大腸)、Certificate of da Vinci System Training As a Console Surgeon、日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医、日本消化器病学会専門医、近畿外科学会評議員

駕田 修史

役職医長
学会認定医等資格

深山 華子

役職専攻医
学会認定医等資格

松本 沙耶

役職非常勤医師
学会認定医等資格

奥山 結香

役職非常勤医師
学会認定医等資格

学会指導施設認定

日本外科学会専門医制度修練施設・指定施設
日本消化器外科学会専門医制度指定修練施設・認定施設

外来診療担当表

診療受付時間 8:30~11:30(診療時間 8:45~17:15)

  • 医師の都合により、休診または代診となる場合があります。予めご了承下さい。
  • 午後の診療は、原則として予約となっておりますので、詳しくは外来受付窓口へお問合せ下さい。
  • 赤字は女性医師です

外科・消化器外科

診察場所 診察時間
1診 B2-1 午前 廣川 交代制 廣川 交代制 廣川
午後

 

3診 B2-4 午前 深山
大住
2診 B2-2 午前 駕田

乳腺外科

診察場所 診察時間
2診 B2-2 午前 松本
奥山
午前

 

急な発病や、症状の急な変化に対しては随時対応しておりますので、受付でお申し出ください。

  • 外来再診予約や、乳腺疾患の診察予約は市立大津市民病院外来Bブロック受付で行っております。
    電話での予約も可能ですので、ご連絡ください。

募集・採用について

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