臓器名 | 心臓 |
---|---|
臓器の特徴・働き | 心臓は胸のほぼ中央にある臓器です。大きさは握りこぶしほどで、全身に血液を送り出すポンプの役割を担っています。心臓のポンプが働くには、心臓の筋肉細胞に酸素に富んだ血液が十分に流れる必要があります。心臓の血管を冠動脈と言い、左右の冠動脈が分岐して直径 2-4mm程の細い血管になり、心臓の隅々まで血液を届けます。 |
病気の説明 | 急性心筋梗塞や狭心症は、冠動脈が動脈硬化などによって狭窄したり閉塞したりすることで、心筋細胞に血液が十分に送られなくなってしまう病気です。 急性心筋梗塞は突然冠動脈が閉塞して血流が遮断されることで、心筋細胞が壊死してしまい、重篤な不整脈や心不全、突然死などの原因となる命に関わる病気です。 狭心症では、冠動脈が狭窄して心筋細胞への血流が制限されているため、運動時に必要なだけの血液が流れず、胸痛症状が出現します。 |
危険因子 | 急性心筋梗塞や狭心症の主な原因は動脈硬化です。動脈硬化は加齢とともに進行しますが、糖尿病、高血圧症、高コレステロール血症、慢性腎臓病などの病気や、喫煙などの生活習慣があると、動脈硬化の進行が加速します。両親や血縁に心筋梗塞や脳卒中などの病気の方がいる場合は、危険性が上がります。 急性心筋梗塞や狭心症といった動脈硬化疾患の予防には、適切な運動や食事、禁煙といった生活習慣の見直しと、動脈硬化につながる病気を適切に治療し、良好にコントロールし続けることが重要です。 |
症状 | 狭心症の症状は、胸が締め付けられる、圧迫されるような鈍い痛みが特徴です。のどが絞めつけられる、左肩が凝る、みぞおちが痛む、歯や顎が痛むなどの症状を感じる方もいます。 典型的には坂道や階段を上がったり、重い荷物を運んだりした運動時に狭心症の症状を感じ、安静にすると数分以内に消失します。病気が進行してくると、ごく軽い運動でも症状が出るようになったり、頻度が増えたりして、安静時にも感じるようになると、急性心筋梗塞に移行する危険が極めて高いです。 急性心筋梗塞の場合は、安静時や就寝中であっても、冷や汗を伴うほどの非常に強い胸痛が出現します。 また、長年糖尿病を患っている方などでは、無症状のうちに病気が進行していることもあります。 |
検査・診断 | 血液検査、心電図、心臓エコー、冠動脈CT、心筋シンチグラフィ などの検査を組み合わせて診断します。症状と検査から冠動脈疾患が疑われた場合は、入院して冠動脈造影検査を行います。手首や肘、足の付け根などを局所麻酔して、動脈の中にカテーテルという細い管を挿入し、冠動脈に直接造影剤を注入して狭窄・閉塞病変が存在するか観察します。中等度の狭窄病変を認めた場合には、心筋の血流が本当に不足しているかどうか、冠血流予備量比 (FFR) という検査を追加して評価することもあります。 |
治療 | 生活習慣を見直しながら、薬物治療、血行再建手術などを行います。 薬物治療としては血液をサラサラにする抗血小板薬や、血流を増加させる血管拡張薬、心拍数を低下させて心筋の酸素需要を低下させるβ遮断薬などがあります。 血行再建手術としては、循環器内科医が局所麻酔で行うカテーテル手術(PCI:図1)と、心臓外科医が全身麻酔で胸を切って行うバイパス手術があります。 PCIは、カテーテルを介して細いワイヤーを病変部に通し、バルーンで狭窄部を拡張したり、ステント(図2)という金属の網目状の筒を留置したりすることで冠動脈の血流を改善させる治療です。血管壁の石灰化が高度でバルーンで拡張することが難しい場合には、先端にダイヤモンドチップが埋め込まれた1~2mm径のバー(Burr)を 毎分16~20万回転させることにより、狭窄部分を削るローターブレータ治療を行うこともあります。 病変の性状からバイパス手術が望ましいと判断される場合は、冠動脈バイパス手術を提案させて頂きます。心臓血管外科医と連携して、患者さんご自身の希望を尊重し、最良の治療方法を選択します。 |
この疾患における 当院のアピール |
当院では、国内で冠動脈カテーテル治療が始まったばかりの1980年代から長年の治療実績があり、経験豊富な医師が複数在籍しています。安全で確実な治療手技を第一に心がけており、病状や治療法の選択、治療結果等について丁寧に説明しますので、安心・納得して治療を受けて頂くことができます。 |