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HPVワクチン接種について

子宮頸がんと HPV ワクチンに関する最新の知識

①子宮頸がんは年間約1万人が罹患し、約 2,800 人が死亡しています。 さらに、最近漸増傾向にあります。

②子宮頸がんの95%は、HPV(ヒトパピローマウイルス)が原因です。

③HPV ワクチンを積極的に接種している世代では、子宮頸がんの発生数が88%減少しています(4価HPVワクチン 10-16歳女性に投与)。

子宮頸がんは年間約1万人が罹患し、約 2,800 人が死亡しており、患者数・死亡者数とも近年漸増傾向にあります。特に、50 歳未満の若い世代での罹患の増加傾向が問題となっています。

HPVワクチン解説図

HPVワクチン解説図2

子宮頸がんの95%以上は、HPV(ヒトパピローマウイルス ヒト乳頭腫ウイルス Human Papilloma Virus) が原因です。

世界保健機関(WHO)は子宮頸がんを過去の病気にすることを目標に掲げ、2030 年までにすべての国々で、ワクチン接種率が90%以上になれば、今世紀中に子宮頸がんは排除可能と提言しています。HPV ワクチンを積極的に接種しているスウェーデンでは、ワクチン接種を受けた世代の子宮頸がんの発生数がおよそ 88%減少しています(4価ワクチン)。

HPVワクチン解説図3

HPVワクチン接種の対象(ガイドライン婦人科外来編 2020年)

1.10-14歳の女性(男性)(推奨A)

2.1526歳の女性(推奨A)

3.ワクチン接種を希望する2745歳の女性(推奨B)

4.子宮頚部細胞診軽度異常女性(既往を含む)には接種できる(推奨B)

5.原則的に、接種の可否を決めるのにHPV検査は行わない(推奨B)

6.妊婦には接種しない(B)

HPVワクチンは平成25年から定期予防接種となり、小学6年生から高校1年生までに相当する年令(12-16歳)の女子は、無料で接種できます。

HPVワクチンの副作用

WHOの専門委員会(GACVS)が、世界中の最新データを継続的に解析し、2017 年7 月に、本ワクチンは極めて安全であるとの見解を発表しています。日本においてワクチン接種後に報告された広範な疼痛や運動障害、起立性調節障害などを含む多様な症状の頻度は10 万人あたり約5 人(0.005%)であると報告されましたが、ワクチン接種との因果関係を疑う根拠に乏しいとされています。

名古屋市においては、2015 年に、1994~2000 年度生まれの女性(15~21 歳)にアンケート調査が行われています(回収率:43.4%(30793 人/70960 人))。この調査では、接種者と非接種者の24 症状の年齢調整後の起こりやすさに有意差は検出されず、HPVワクチン接種と24 症状の因果関係は証明されませんでした。 HPVワクチン解説図4

ワクチン接種後に注射による心因性反応を含む血管迷走神経反射として失神が現れることがあるため、失神による転倒を避けるため接種後30分程度は座らせるなどした上で被接種者の状態を観察します。発生機序は不明です。ワクチン接種後に注射部位に限局しない激しい疼痛(筋肉痛、関節痛、皮膚の痛み)、しびれ、脱力等があらわれ、長期間症状が持続する例が報告されているため、異常が認められた場合には神経学的・免疫学的な鑑別診断を含めた適切な診療が可能な医療機関への受診を促すなどの対応を行います。

9価ワクチン:シルガード9®

HPVワクチンは、2価ワクチン(サーバリックス®)、4価ワクチン(ガーダシル®)、9価ワクチン(シルガード9®3種類があります。

HPV には約 200 種類の遺伝子タイプがあり、子宮頸がんと関係の深い ハイリスクタイプはHPV16/18/31/33/35/45/52/58 型などです。これまでの HPV ワクチン(2 価、4 価)は、HPV16, 18 型の感染を予防できるワクチンです。2020 年 7 月に承認された 9 価 HPV ワクチンは、予防できるタイプがさらに 9 タイプになりました。ハイリスクとしては 7 タイプ(HPV16/18/31/33/45/52/58 型)の感染を予防できます。日本のデータでは、子宮頸がんの60~70%は HPV16・18 型で、HPV16・18 型は、感染してから癌に向かうスピードが速く、20~40 歳代で発症する子宮頸がんでは、HPV16・18 型の頻度が高く、20 歳代の子宮頸がんの約 90%は HPV16・18 型が原因です。6型、11型は尖圭コンジロームの予防に有効です。9価ワクチンは定期接種の対象とはなっていません。9 価 HPV ワクチンのHPVの型は、子宮頸がんのみならず、女性の腟がんや外陰がん、男女ともに肛門がん、中咽頭がんなどの原因となります 。9 価 HPV ワクチンは 2014 年に米国で承認されて以降、世界で 80 以上の国で承認され、米国では 11-12 歳の男女に国の正式なワクチンプログラム(定期接種)として接種が推奨されています。

スウェーデンでは、2006 年から 4 HPV ワクチンを中心に接種されてきた経緯があり、10-16歳の女性に4価ワクチンを接種すれば、浸潤性子宮頸がんが88%減少し、17-30歳の女性では53%減少させることが証明されています。

国際共同試験(V503-001 試験)で、1626 歳女性に対して 9 HPV ワクチン(7106人に投与)の効果について、HPVによる病変が 97.4% 減少したことが証明されました。

9 HPV ワクチンの頻度の高い副反応としては注射部位の疼痛・腫脹・紅斑が挙げられます。9-15歳女子を対象にした国内試験(V503-008試験)においては、接種後5日以内の注射部位の副反応が95.0%100症例中95症例)、特に疼痛は93.0%100症例中93症例)に認められました。(以上の内容は、日本産科婦人科学会の公式見解です。)

Part 1 子宮頸がんとHPV ワクチンに関する最新の知識(PDF)

Part 2 子宮頸がん検診の最新の知識(PDF)

Part 3 HPVワクチン最新情報(PDF)

HPVワクチンは平成25年から定期予防接種となり、小学6年生から高校1年生まで相当する年令(12-16歳)の女子は市町村が契約する医療機関では無料で接種できます。(2価ワクチン:サーバリックス®と4価ワクチン:ガーダシル®) 

無料の定期予防接種(小学6年生から高校1年生まで)以外のHPVワクチンは有料です。

2価ワクチン:サーバリックス® 1回 16,500円×3回

4価ワクチン:ガーダシル®   1回 16,500円×3回

9価ワクチン:シルガード9®  1回 26,000円×3回