日本人の成人における胆石保有率は10%前後で、よくある疾患の一つです。胆嚢内に結石がある胆嚢結石の場合、症状が出現する確率は年間1〜3%とされていますが、胆管内に結石がある胆管結石では、腹痛・発熱・横断などの症状がでることが多く、結石除去を行うのが治療方針となります。その治療の中心を担うのが内視鏡治療です。
内視鏡下に胆管や膵管を造影し、結石の診断及び治療を行う検査をERCP(Endoscopic retrograde cholangiopancreatography)と言います。口から十二指腸用の内視鏡をすすめてゆき、胆管の出口からカニューレや処置具を胆管に入れて、胆石を掻き出します。この検査・治療は腹這いの姿勢で1時間程度を要することから通常鎮静下で行います。検査や治療時には安全のため患者様の体動を抑える必要がありますが、当院では用手的な抑制ではなく、ビーズを充填したマットによる保持・固定を導入しています。(図6)マット内の空気を真空ポンプで除圧することによりマットを硬化させ、体型に合わせて患者様の体位を固定します。患者様に苦痛が少なく安全な治療を心がけています。
結石除去にはバルーンやバスケットを用いる。結石の大きさや状態により使い分ける。
バルーン:砂状、泥状、小さな結石バスケット:小さな結石
乳頭を通常より大きいラージバルーンで爆発させる!!
以前はこのような症例では完全に結石を除去するには複数回処置が必要でしたが、十二指腸乳頭部(胆管の出口)を風船で膨らませる処置:EPLBD(Endoscopic papillary large-balloon dilation)を行うことで乳頭開口部を大きく拡張させ、少ない処置時間や回数で完全な結石除去を得ることができます。それにより患者様の負担や合併症を減らすことができます。