近年、高齢化や生活習慣病の増加にともなって足のトラブルで悩む人が増えています。
原因としては、動脈硬化による血行不良、糖尿病による神経障害、足の変形、感覚障害など様々なものがあります。
そのため、足の治療には様々な診療科、職種の連携が必要となってきます。
市立大津市民病院では、循環器内科、心臓血管外科、整形外科、糖尿病内科、腎臓内科、皮膚科、形成外科などの医師、作業療法士、看護師、栄養士などが連携をとって治療に当たっています。
フットケア外来は、月曜日から金曜日(祝日除く)までの午前中に行っております。
足のトラブルでお困りの際は、ご相談ください。
<1>まずは皮膚科の医師が、トラブルの原因が何か詳しく診察します。
の有無などを主にチェックします。
<2>下記の検査でトラブルの原因を精査していきます。
血液検査:感染症や糖尿病、甲状腺機能、血栓症、膠原病などを調べます
ABI:足首と上腕の血圧を測定し、その比率を計算。通常は足首の血圧の方が高いですが、血液の流れが悪いと上腕の方が血圧が高くなります。
下肢超音波:動脈や静脈などの血管に異常がないか確認します。
CT:胸部~骨盤内に浮腫やしびれの原因となる疾患がないかの確認や、造影剤を使用した血管狭窄、閉塞の評価を行います。
X-p、MRI:骨髄炎の評価を行います。
当院ではMRI検査、造影CT検査以外は、ほぼ受診日当日に検査を行います。
循環器内科の医師がさらに詳しく検査、治療を行います。
血管の中に造影剤を流して、さらに狭窄や閉塞部位の程度を詳細に評価するカテーテル検査を行います。
その後は狭窄や閉塞の程度に応じてカテーテルを使用した血液の流れをよくする血管内治療(EVT:Endovascular Treatment)を入院に行います。
血管内治療(EVT) 後、2ヶ月で治癒。血流が改善することで傷の治りが早くなります。
足の浮腫のトラブルの原因としては、足の静脈の流れが悪く、静脈がこぶのように盛り上がるいわゆる静脈瘤や、リンパの流れが悪いリンパ浮腫が多いです。
浮腫が長期間続くと、うっ滞性皮膚炎(紅斑、びらん、色素沈着など)を起こします。
この場合は心臓血管外科の医師がさらに詳しく検査、治療を行います。
◆下肢静脈瘤が原因だった場合
適応があれば、当院では下肢静脈瘤に対する血管内レーザー治療を行っています。
下肢静脈瘤治療用半導体レーザー装置『ELVeS レーザー1470』を導入しています。
この装置を使用することで、従来の手術よりさらに小さな創での低侵襲な手術が可能となり、日常生活への早期復帰が図れます。
◆リンパ浮腫が原因だった場合
弾性ストッキングによる圧迫療法を中心に行います。
適応があれば、リンパの流れを良くするリハビリも行っています。
浮腫が改善することで、傷の治りがよくなります。
足の感覚が鈍い、足が変形しているなどのトラブルの原因としては糖尿病があります。
この場合は、糖尿病内科の医師がさらに詳細な検査と治療を行います。
また食生活の見直しが重要であり、栄養士が栄養指導を行います。
足に変形がある場合は、傷の予防のための装具の作成も行います。
蜂窩織炎、壊疽などの感染症がわかった場合は、主に皮膚科の医師が治療を行います。
傷の状態によっては、傷を早く治す機械を使用する陰圧閉鎖療法という治療も行うこともあります。
またCTやMRIなどの画像検査で骨まで感染や傷が及んでいる場合は、整形外科や形成外科の医師とともに治療を行います。
ガス壊疽+糖尿病:治療実際の例
両足凍傷、壊疽:治療実際の例
切断も考慮されたが、本人の意思を尊重し、保存的に加療した。