病院の案内

新任のご挨拶

理事長のご挨拶

 

理事長着任にあたり一言ご挨拶を申し上げます。

 

市立大津市民病院理事長

市立大津市民病院 理事長
河内 明宏

新任のご挨拶

このたび、令和4101日より地方独立行政法人市立大津市民病院理事長を拝命いたしました。

私は大津市にある滋賀医科大学で泌尿器科学講座教授として臨床、教育、研究の実践、指導を行うとともに滋賀県の地域医療にも9年余りの期間携わってきました。
これらの経験が少しでも当院の地域医療に貢献し、結果として市民の健康の保持、増進につながるように精一杯努力する所存です。

ご存じのように当院は本年に医師の大量退職問題が発生し、皆様には大変ご迷惑、ご心配をおかけしました。
4月よりは日野院長が赴任し、職員と一丸となって問題解決と信頼回復に努力し、医師の補充は進み、これまで通りの職務を遂行できるようになってきました。ただ、一度失った信頼を取り戻すのは一朝一夕ではできません。
今後は私も加わり、市民の信頼が早期に回復するように努めたいと思います。このためには一人一人の患者さんやご家族の目線に立った、満足してもらえるような医療を心掛け、この満足が二人、三人と少しずつでも増えていくような地道な努力が必要です。
幸い当院には優秀で労を惜しまない職員がたくさんいます。全員で一つの方向を向き、市民の皆様のために頑張っていきたいと思います。

今後ともご支援ご指導をよろしくお願い申し上げます。

令和4(2022)年10月
市立大津市民病院 理事長
河内 明宏

院長のご挨拶

 

院長着任にあたり一言ご挨拶を申し上げます。

 

市立大津市民病院院長

市立大津市民病院 院長
日野 明彦

新任のご挨拶

この度、4月18日より市立大津市民病院に院長として赴任した日野明彦です。済生会滋賀県病院で28年間、脳神経外科医を務め、この2年間は新型コロナ対策を担当していました。
長文になりますが、考えていることをいくつか述べさせていただきます。

優先順位を考える

私達は、やりたいこと、やるべきことを全て同時に達成することはできません。あちら立てればこちら立たずというのが世の常です。いつも、何かを後回しにしたり、諦めたりする決断が必要になります。“優先順位”の間違いはトラブルを招きます。トラブルは、組織の指導者たちが狭い視野で自分たちの権益や体面を優先した結果だと思います。病院業務では、収益、学術、教育、評判、医師を派遣する大学医局、院内秩序など、配慮することはたくさんあります。しかし、目の前の患者さんをしっかり診ること以上の優先事項はありません。

現場で考える

管理職の本質は“裏方さん”だと思います。現場の職員が働きやすい環境を整えることが仕事です。そのためには、現場に出向き、現場の意見を聞き、現場で何が起こっているのかを確認することが不可欠と思っています。

赤字体質

当院は長年の赤字体質を抱えています。一因は、採算のあがりにくい、しかし市民にとって不可欠の医療分野を担っていることです。例えば感染症病棟は通常は代表的な不採算部門ですが、新型コロナパンデミックでは、当院は滋賀県民に最大の貢献を果たしてきました。もちろん、市民の税金で運営される以上、徹底的に無駄を省く努力は不可欠です。現場にどんな非効率があるのか? 改善のためにどんな工夫が出来るのか?を常に考えたいと思います。

医師大量退職問題についての私見

私が当院の医師大量退職を知ったのは3月のネットニュースでした。当時は全くの他人事で、まさか自分がその病院に着任するとは思ってもいませんでした。どんな職場であれ、管理者から理不尽な扱いを受けた職員が反発するのは当然です。 病院の運営にとって、医師の確保は生命線です。私が率いていた病院の脳神経外科は、嘗て10年以上にわたって大学医局から離れていました。医師の派遣は打ち切られ、残った少数の医師で専門医を育て、関東から若手医師を集めて24時間365日の診療を続けました。今では大所帯になっていますが、存続の危機は何年も続きました。診療現場では、医師の出身医局など何の意味もありません。必要なのは医師としての技量と患者さんを助けたいという熱意だけです。 多くの医師が離職する今回の騒動は、当院に大きなダメージをもたらしました。不安に駆られる患者さんや、前途を悲観する職員の声も届いています。病院はつぶれるのではないか? トラブルを抱えた病院でちゃんと診てもらえるのか? そのような声も聞きます。しかし、一方に病気やケガに苦しむ市民がいて、片方に診療に力を尽くしたい医療者がいる限り、私たちの仕事は続きます。 当院には、地域医療の現場で献身的に毎日働いている800人以上の職員がおります。何人かの医師は残留を表明してくれました。着任してすぐわかったのは、当院には優秀で労を惜しまない職員がたくさんいるということです。私の責務は、この人たちを支え、少しでも働きやすい環境を整えることだと思っています。 それ以上に、病院で日々診療を受けておられる市民の皆様がおられます。どうかこの人たちに御配慮いただき、皆様にご支援いただけることを切に願っております。

地域全体で考える

医療は専門化、細分化が進んでいます。今や、一つの医療施設で多岐にわたる地域医療を賄うことは不可能になっています。幸いなことに、当院の近隣には3つの公的病院があり、それぞれに得意分野が違います。これらの病院と連携し、機能分担を進めながら、一つの病院単位ではなく、地域全体の医療体制を整えたいと考えています。 確かに当院は危機に直面していますが、職員の士気は上がっています。組織を根本から見直すような改革は、たいてい危機の時に達成されます。当院は、市民による市民のための病院です。当院の運営について、ご提言、ご助言などございましたら、お気軽にご一報いただくようお願い申し上げます。

現況と今後の診療体制

今回のトラブルに附随して、退職が想定された診療科は下記の通りです。 消化器外科については、すでに同数の交代チームが着任して働いています。6月に退職予定の乳腺外科医師1名については、常勤医師招聘を調整中です。脳神経外科4名は9月に退職予定ですが、私自身が脳神経外科医ですので、一般的な脳外科分野は自分で担当します(キャリア40年、数千件以上の脳外科手術を経験しています)。なお、当院の脳神経外科はもともと脊椎外科を主分野としておりましたので、今秋に脊椎外科チームの招聘を検討します。泌尿器科は9月に退職予定ですが、最終日まで全力で診療を続けることを宣言しています。円滑に交代をすべく調整中です。神経内科も退職の意向を表明していますが、時期は未定です。麻酔科、放射線診断科は残留が決まりました。 その他の診療科には、今回のトラブルに附随して退職する医師はいません。退職を余儀なくされながらも最終日まで職務遂行を表明してくれた医師達、残留を表明してくれた医師達、個人的に当院への着任を申し出てくれた医師達、さらには交代チームの派遣を快諾してくれたいくつかの医療機関のおかげで、当院はこれまでどおりの職務を遂行できます。少し時間はかかるかもわかりませんが、以前よりもさらに陣容を充実させて、市民のお役に立ちたいと思っています。

令和4(2022)年4月
市立大津市民病院 院長
日野 明彦