病院の案内

2023年度

2023年度 市立大津市民病院 病院情報の公表

医療法における病院等の広告規制について(厚生労働省)

  • 厚生労働省「病院情報の公表の集計条件等」に基づき集計し、公表しております。
  • 2023年4月1日から2024年3月31日までの退院患者で一般病棟に入院した患者が対象です。(一部対象外あり)
  • 表中の「‐(ハイフン)」は患者数が10件未満であることを示しております。
  • 「診断群分類別患者数等」および「診療科別主要手術別患者数等」について、上位の患者数が全て10件未満の診療科は公表しておりません。

「病院指標」

「医療の質指標」

年齢階級別退院患者数

ファイルをダウンロード

年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 469 95 101 107 283 538 746 1,867 1,787 660

70歳代・80歳代が多く、70歳以上の患者が全体の約65%を占めています。
70歳以上の割合は前年度(2022年度)とさほど変わりませんが、90歳以上の割合が年々増えてきており高齢化が反映されています。
また、0歳から9歳の小児患者の割合も前年度4.7%から7.0%と増えています。
小児患者が増えた理由として、
当院は感染症ER(救急外来)を運用していたことから気管支炎や肺炎などの気道感染症を多く受け入れたことや、
鼠径ヘルニアや停留精巣など小児の外科手術も始めたことなどがあげられます。

※年齢は入院時の年齢で、90歳以上は1つの階級で示しています。

診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

ファイルをダウンロード

内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
患者用
パス
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし 63 26.81 20.60 19.05 84.94
110280xx9900xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 62 10.37 11.49 0.00 73.31
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 56 19.43 13.52 10.71 78.98
130030xx99x5xx 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等2⑤リツキサン(抗悪性腫瘍剤)+フィルグラスチム 33 21.82 19.61 9.09 74.94
130030xx99x4xx 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等2④リツキサン(抗悪性腫瘍剤) 26 7.12 9.62 0.00 73.04

総合内科・救急診療科との連携により、肺炎や尿路感染症などの一般的内科疾患に加え、糖尿病・内分泌、腎臓、血液の各専門医による専門性の高い医療を提供しております。

最も多い症例は「誤嚥性肺炎」で、平均年齢は84.9歳です。
誤嚥性肺炎は、食べ物等を飲み込む嚥下機能が低下した高齢者に多い疾患です。
患者さんが元々持っておられる疾患により、内科以外の診療科でも多く受け入れています。
さまざまな疾患を併せ持つ高齢患者さんに対しては、病気を総合的にとらえQOL(生活の質)を最大限に考えた全人的医療を提供しております。

次に多い症例である「慢性糸球体腎炎・慢性腎不全」は腎臓内科の分野です。
腎臓内科では、蛋白尿・血尿の精査から、慢性糸球体腎炎・糖尿病性腎症をはじめとする慢性腎臓病の治療、透析の導入から維持透析の管理まで腎臓病全般の診療を行っています。

非ホジキンリンパ腫は血液内科の分野です。
白血病や悪性リンパ腫などの血液のがんに対し、標準的な治療を基本に、患者さんにあわせた最新のエビデンスに基づいた化学療法を行っています。

心療内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
患者用
パス
161070xxxxx00x 薬物中毒(その他の中毒) 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 11 3.36 3.62 9.09 32.18
170040xxxxxxxx 気分[感情]障害 - - 16.81 - -
161070xxxxx01x 薬物中毒(その他の中毒) 手術・処置等2なし 定義副傷病あり - - 6.38 - -

睡眠薬や抗不安薬など医薬品の多量服用による救急入院が多く、精神状態および身体状態が安定した後に退院となります。
切迫した精神状態にある患者さん(重症な不安・抑うつ、自殺願望など)や、行動管理が必要な患者さんなど、緊急に入院治療が必要な方は、適切な入院先へご紹介します。

小児科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
患者用
パス
040090xxxxxxxx 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) 69 4.83 5.96 0.00 1.55
080270xxxx1xxx 食物アレルギー 手術・処置等1あり(小児食物アレルギー負荷試験) 63 1.00 2.12 0.00 2.68
040070xxxxx0xx インフルエンザ、ウイルス性肺炎 手術・処置等2なし 47 5.17 5.86 0.00 2.38
080270xxxx0xxx 食物アレルギー 手術・処置等1なし 32 1.00 2.69 0.00 3.06
0400801199x00x 肺炎等(1歳以上15歳未満) 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 26 5.42 5.62 0.00 3.12

前年に比べると急性気管支炎や肺炎などの気道感染症が増加し、RSウイルス感染症の流行による入院が目立ちました。
入院患者さんは呼吸器感染症・消化器感染症の症例が中心ですが、
食物アレルギーに対する1日入院での食物経口負荷試験や、低身長に対する2泊3日入院での成長ホルモン分泌刺激試験も積極的に実施しています。

外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
患者用
パス
060335xx02000x 胆嚢炎等 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 57 8.70 6.87 3.51 69.14
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 54 5.61 4.55 0.00 75.70
060150xx03xxxx 虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの等 32 5.84 5.29 0.00 42.72
060330xx02xxxx 胆嚢疾患(胆嚢結石など) 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 30 6.33 5.98 0.00 60.83
090010xx010xxx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等 手術・処置等1なし 27 9.07 9.88 0.00 66.26

上位4症例(胆嚢炎・鼠径ヘルニア・急性虫垂炎・胆嚢結石症)は、いずれも腹腔鏡手術を積極的に取り入れています。
体の負担の軽く回復の早い腹腔鏡手術は、入院期間も短くできます。
上記以外の食道がん・胃がん・大腸がん・肝がんなどの悪性疾患、食道裂孔ヘルニアや腹壁ヘルニアなどの良性疾患、さらに腸閉塞などの救急症例を含め、可能な限りキズが小さく痛みの少ない患者さんに優しい腹腔鏡手術を積極的に施行できる体制を整えています。
乳がんの2022年度の入院件数は少なかったのですが、2023年4月より常勤の女性乳腺外科医2名が勤務しており、受診しやすい環境を整えました。
乳がんは他の悪性腫瘍に比べて若年での罹患も多いことが特徴です。
乳がんの治療は、明らかに遠隔転移している場合を除き、手術によってがんを切除することが基本です。
患者さんやご家族の元のライフスタイルを維持できるよう最大限に配慮しながら最善の治療方針やスケジュールを提案いたします。

整形外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
患者用
パス
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 145 37.39 25.50 60.69 82.22
160760xx97xx0x 前腕の骨折 手術あり 定義副傷病なし 43 5.49 4.76 0.00 65.16
160690xx99xxxx 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。)手術なし 39 22.00 19.34 48.72 82.72
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 17 29.82 21.96 29.41 73.18
160835xx01xx0x 下腿足関節周辺の骨折 骨折観血的手術 前腕、下腿、手舟状骨等 定義副傷病なし 15 26.80 19.30 33.33 56.07

当院には救急部があるため多くの外傷患者さん(スポーツ外傷含む)が搬送されてきます。
骨折に関しては全体的に平均年齢が高くなる傾向となっています。
最も症例数が多い大腿骨近位部骨折(股関節周囲の骨折)は平均年齢82.22歳と高齢者に多く、治療後は患者さんの半数が引き続きリハビリ等のため専門病院へ転院されています。
高齢患者さんは様々な疾患を併せ持つことが多く、在院日数にはバラツキがありますが、おおむね1ヶ月程度の入院です。
近年増加している高齢者の大腿骨近位部骨折に対しては、早期手術と地域連携パスを活用した回復期リハビリ病院との診療連携により、安心で質の高い医療を提供する体制を構築しています。
また、骨粗鬆症を有する大腿骨近位部骨折患者に対して、骨折を繰り返さないよう二次性骨折の予防にも取り組んでおります。

脳神経外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
患者用
パス
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 33 6.18 8.38 9.09 72.18
010060x2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2④エダラボン 定義副傷病なし発症前Rankin Scale 0、1又は2 27 12.19 15.70 22.22 73.89
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 その他の手術あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 27 7.07 9.88 14.81 75.70
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 20 19.50 19.09 60.00 70.45
010230xx99x00x てんかん 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 11 6.36 7.19 9.09 59.27

頭部外傷や頭蓋内損傷(脳振盪や外傷性脳出血、外傷性硬膜下血腫など)の症例が最も多く、血腫の増大など緊急手術が必要かどうかを慎重に観察する必要があるため、入院して検査を行います。
検査の結果で手術が必要と判断され、傷口の縫合や頭蓋内に溜まった血腫を取り除く穿頭血腫洗浄術とよばれる手術を行った症例が3番目に多い症例です。
2番目に多い症例は、急性期脳梗塞を発症しエダラボン(先発品:ラジカット)を投与した症例です。
4番目に多い症例は脳内出血(外傷以外の理由によって脳内の血管が破れ、大脳、小脳及び脳幹などに出血した状態)を発症し内科療法とリハビリ療法を行った症例です。
脳卒中を発症した患者さんは、当院で急性期の治療を終え、自宅や社会復帰に向けてリハビリテーションを行うために回復期リハビリテーション病棟を有する病院へ転院する場合があります。
患者さんひとりひとりにとって、最も安全確実な治療法を考え提供します。

呼吸器外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
患者用
パス
040040xx97x00x 肺の悪性腫瘍 その他の手術あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 32 10.34 9.89 0.00 71.09
040200xx01x00x 気胸 肺切除術等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 10 9.30 9.54 0.00 41.60
040200xx99x00x 気胸 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし - - 9.17 - -

当科では肺がんの症例が最も多く、侵襲の少ない胸腔鏡での手術を積極的に行っています。
その他にも気胸・縦隔腫瘍など呼吸器外科全般にわたって治療を行っています。
からだへの負担の少ない術式や胸腔鏡アプローチ、必要に応じたリハビリ介入を中心に早期の日常生活復帰・社会復帰を目指します。

心臓血管外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
患者用
パス
110280xx02x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 15 3.27 7.57 0.00 71.87
050210xx97000x 徐脈性不整脈 手術あり 手術・処置等1なし、①,③あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 12 5.67 9.77 0.00 79.50
050180xx02xxxx 静脈・リンパ管疾患 下肢静脈瘤手術等 11 2.91 2.61 0.00 67.55

最近増加傾向にある透析患者さんに対し、内科(腎臓内科)と連携して血液透析のための内シャント造設術を行っております。
また、循環器内科をはじめ他科と連携したチーム医療により患者さん個人個人に応じて最適な医療を受けていただける体制を整えています。
下肢静脈瘤においては、小さな創での低侵襲な手術が可能な高周波血管内焼灼術とグルー治療を導入しております。
入院期間は1~3日程度で、日常生活へ早期復帰が図れます。

眼科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
患者用
パス
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患 手術あり片眼 233 2.00 2.54 0.43 77.42
020230xx97x0xx 眼瞼下垂 手術あり 手術・処置等2なし - - 2.82 - -
020200xx99x1xx 黄斑、後極変性 手術なし 手術・処置等2あり(アイリーア硝子体内注射) - - 2.09 - -

白内障の手術症例が中心です。
白内障とは眼の中の水晶体が濁り視力が低下する病気です。
白内障手術は、この水晶体の濁りを取り除き、人工の水晶体を移植する手術を行います。
白内障の進行や他の合併症の有無によって個人差がありますが、通常の場合、手術時間は10~30分程度となっています。
入院期間は片眼で1泊2日です。また、健康な方で家族の協力が得られ通院が可能な方であれば日帰り手術も選択できます。

耳鼻咽喉科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
患者用
パス
030250xx991xxx 睡眠時無呼吸 手術なし 手術・処置等1あり(終夜睡眠ポリグラフィー) 24 2.00 2.03 0.00 53.88
030400xx99xxxx 前庭機能障害 手術なし  12 4.67 4.73 0.00 64.67
030428xxxxxxxx 突発性難聴 - - 8.55 - -

1番目に多い症例は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の睡眠ポリグラフィー検査です。
睡眠ポリグラフィー検査とは、SASや各種の睡眠障害の診断をするために行う検査です。
基本1泊2日の入院で、様々なセンサーを取り付け、睡眠中の無呼吸(中枢性・閉塞性)や不整脈、合併症の有無について診断します。
当院では、耳鼻咽喉科および呼吸器内科にてPSG検査および治療(CPAP療法)のフォローアップを行っています。
2番目はめまい(メニエール病・末梢性めまい)の症例です。

皮膚科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
患者用
パス
080010xxxx0xxx 膿皮症 手術・処置等1なし 29 13.93 12.88 6.90 68.59
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 10 9.60 9.29 0.00 78.10
080110xxxxx0xx 水疱症 手術・処置等2なし - - 28.98 - -

最も多いのは、蜂巣炎(ほうそうえん)の症例となっています。蜂巣炎とは、主に細菌感染が原因で皮膚の奥深い層に感染が生じた状態です。
蜂巣炎・帯状疱疹などの感染症では、入院治療も積極的に行っています。

泌尿器科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
患者用
パス
11012xxx02xx0x 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術 定義副傷病なし 48 6.25 5.22 0.00 64.33
110070xx03x0xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等2なし 47 7.17 6.85 2.13 74.32
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり(前立腺針生検法) 35 2.20 2.44 0.00 72.49
110200xx02xxxx 前立腺肥大症等 経尿道的前立腺手術等 34 8.35 7.75 0.00 73.76
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 31 13.77 13.52 0.00 72.00

最も多い症例は、腎結石や尿管結石に対して尿道から内視鏡を腎、腎盂または尿管内に挿入し、電気水圧衝撃波、超音波またはレーザーなどで結石を破砕し摘出する症例です。
次いで早期膀胱癌に対して尿道から内視鏡を挿入し、腫瘍部分を切除する症例です。
3番目に多い症例として前立腺癌疑いに対して生検を行う症例であり、当院では大津医療圏では初、県内で2番目に導入した「MRI-超音波融合画像診断システム ARIETTA65」を使用し、MRI画像上で発見された病変部位を超音波画像上にリアルタイムに描出することで、確実に病変部を生検が可能になりました。(MRIフュージョン生検)
早期病変では従来MRI画像上で確認できても生検時に行う超音波検査では病変が見えないということも多くあり、その場合は生検本数を多くすることで診断の正確さを担保していました。
しかし、MRIフュージョン生検では確実に病変部に狙撃生検することが可能であり、生検本数を減少することができ体への負担も軽減されます。さらに、癌病巣の検出率が向上し、局在診断も可能となりました。
4番目に多い症例として前立腺肥大症に対して尿道から内視鏡を挿入し、電解質溶液やレーザーなどで肥大した前立腺を尿道粘膜とともに切り取る手術の症例です。
5番目に多い症例として腎盂腎炎や尿路感染症、尿管結石と水腎症を伴う複雑性尿路感染症を内科療法で治療する症例です。尿管結石を伴う症例については、必要時手術加療を行う場合もあります。

呼吸器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
患者用
パス
040040xx99200x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1②経気管肺生検法等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 54 3.13 2.98 0.00 75.19
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし 40 18.63 20.60 2.50 86.55
040110xxxxx0xx 間質性肺炎 手術・処置等2なし 39 17.00 18.65 17.95 76.18
030250xx991xxx 睡眠時無呼吸 手術なし 手術・処置等1あり(終夜睡眠ポリグラフィー) 29 2.00 2.03 0.00 54.14
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 21 15.90 13.52 14.29 84.90

最も多い症例は、肺がんが疑われる場合などに行う検査「経気管肺生検法」です。
最新の気管支内視鏡システムと、超音波内視鏡を導入しているので、正診率の高い経気道的腫瘍生検が可能です。
かつて気管支鏡は、つらい検査とよく言われていましたが、最近は苦痛を最小限に抑える様に、鎮痛、鎮静を十分に行うため安心して受けていただけます。
当科では肺癌と診断された患者さんに遺伝子検査など様々な検査結果に基づいた、個別最適な治療法を提案しております。
また、手術や放射線治療が必要な患者さんは当院呼吸器外科や放射線科と連携し、治療を受けていただけます。
誤嚥性肺炎とは、飲み込む機能が低下し、食べ物や唾液などが誤って気道内に入ってしまうことから発症する肺炎です。
当院では医師・看護師・言語聴覚士・歯科衛生士・管理栄養士などにより構成された摂食嚥下チームがあり、脳卒中や高齢などにより摂食嚥下機能に障害のある患者さんに、誤嚥性肺炎や窒息などのリスクを回避し、安全においしく食べることを支援します。
間質性肺炎は診断、治療に熟練、専門性を要する疾患です。間質性肺炎の原因としては,過敏性肺炎や薬剤性肺障害などがありますが、原因がはっきりしないものを特発性間質性肺炎と呼びます。
睡眠時無呼吸過眠症候群の確定診断のための検査入院も行っております。

循環器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
患者用
パス
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1なし、①,②あり 手術・処置等2なし 95 4.44 4.26 0.00 72.21
050130xx9900x0 心不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 他の病院・診療所の病棟からの転院以外 79 20.71 17.38 5.06 86.08
050050xx9920x0 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1②心臓カテーテル法+冠動脈血流予備機能測定 手術・処置等2なし 他の病院・診療所の病棟からの転院以外 35 3.83 3.25 0.00 72.43
050050xx9910x0 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1①心臓カテーテル法 手術・処置等2なし 他の病院・診療所の病棟からの転院以外 29 5.21 3.05 3.45 73.07
050070xx01x0xx 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術 手術・処置等2なし 27 4.93 4.57 0.00 68.93

循環器内科の対象となる疾患は、心不全や虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)、不整脈、弁膜症、肺塞栓症など命に直結する疾患です。
当科の特色として、狭心症・心筋梗塞治療の中心となる「冠動脈インターベンション治療(PCI)」を、30年前からコンスタントに行い長期的なアフターケアをしています。 通常の入院期間は、心臓のカテーテル検査で3日前後(表中3番目、4番目)、経皮的冠動脈形成術で4日ほど(表中1番目)です。
また、当院ではプレッシャーカテーテルを用いて冠血流予備量比(FFR)を評価しております。FFRは患者さんの血圧や心拍数などに影響を受けにくく、狭窄を客観的に評価することができるため、治療を戦略的に考えることができます(表中3番目)。
2024年9月からQFRという冠動脈血流解析ソフトウェアを導入し、冠動脈にプレッシャーカテーテルを挿入せず2方向から撮影されたカテーテル検査画像を組み合わせ、コンピューター上で冠動脈の3次元モデルを作成し、狭窄の前後で血流がどのくらい低下しているのか解析することが可能となりました。
不整脈に対する「カテーテルアブレーション」も2016年4月から開始し、 通常の入院期間は4~5日程度(表中5番目)の入院です。
これらの病気は高血圧や動脈硬化を原因としていることが多く、急性期を乗り越えた後も食事や運動など生活習慣に気をつけて自己管理していかねばなりません。
「心臓リハビリテーション」など、医師だけでなく看護師や理学療法士、管理栄養士、薬剤師などでチームを作って、ご自宅に帰っての生活をサポートします。
当院では外来心臓リハビリを県下トップクラスの件数をこなしており、他施設からリハビリ目的のご紹介もいただいております。

消化器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
患者用
パス
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 252 2.48 2.61 0.00 70.44
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 72 8.65 8.75 2.78 75.57
060020xx04xxxx 胃の悪性腫瘍 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 67 8.49 7.61 0.00 73.79
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし 54 33.93 20.60 18.52 88.35
060340xx03x01x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2なし 定義副傷病あり 39 27.31 16.81 20.51 85.15

最も症例が多かったのは、大腸ポリープ(腫瘍)に対する内視鏡的切除術(ポリペクトミー・EMR)です。治療は当日入院で1泊2日から2泊3日を標準としています。
次いで総胆管結石・胆管炎に対する内視鏡的治療(除去術・破砕術)、早期胃癌に対する内視鏡下早期悪性腫瘍粘膜下層剥離術(ESD)、
誤嚥性肺炎、総胆管結石・胆管炎に対する内視鏡的治療(除去術・破砕術)を行い敗血症などの病気も併発した症例の順です。
それぞれの専門分野のエキスパートが切磋琢磨しながらすべての消化器疾患をチーム全体で診療する体制をとっています。
また、内科疾患についても チーム全体で診療し患者さんをフォローしています。消化器系救急疾患に対しても、当院のERおおつや外科と常に連携し、24時間体制で対応しています。
2021年度に一新した最先端の内視鏡システムを駆使し診療を行い、血管造影装置による肝疾患等に対しIVR治療も行っています。

初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数

ファイルをダウンロード

初発 再発 病期分類基準(※1) 版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 74 - - 26 - - 1 8
大腸癌 27 19 33 18 19 22 1 8
乳癌 18 15 - - - - 1 8
肺癌 24 - 22 27 - 39 1 8
肝癌 - - - - - 54 1 8

  ※1:UICC TNM分類

5大癌について、初発患者のUICC TNM分類による患者数、および再発患者の患者数を示しています。
患者数は延患者数です。(同一の患者さんが入退院を繰り返したら入院ごとに1人としてカウント)

UICC TNM分類とは、癌の進行度を示す分類法の一つです。
がんがどのくらいの大きさになっているか(T)、周辺のリンパ節に転移しているか(N)、別の臓器への転移はあるか(M)、
この3つの要素を組み合わせてStageが0~IVに決められます。Stageの数値が大きいほどがんが進行している状態です。
(この表にはStage0上皮内癌の件数は記載しておりません。)

当院は、健診センターでの早期発見から、内視鏡および外科的手術治療、化学療法、放射線治療そして緩和ケアにいたるまで、
すべての領域のすべてのステージのがんに、一貫した密度の高いがん診療を提供しています。
手術については、各領域の専門医がからだに優しい高度な鏡視下手術を積極的に行い、適応症例にはロボット支援手術も行っております。

◆乳癌
2023年度から女性の常勤医師が2名勤務し、健診部門から終末期の緩和ケア部門まで一貫して切れ目なくサポートできる体制が改めて整備されました。
手術入院も2022年度は数件ほどでしたが、2023年度は37件でした。

◆肝癌
一般的に肝がんといった場合、肝細胞がんを指します。
肝細胞がんは肝細胞が癌化したもので、原発性肝がんの9割以上を占めています。
肝細胞がんは再発しやすいという特徴があるため、治療後のフォローアップが重要となります。

成人市中肺炎の重症度別患者数等

ファイルをダウンロード

患者数 平均在院日数 平均年齢
軽症 11 7.45 47.45
中等症 63 16.02 73.29
重症 19 21.53 82.95
超重症 - - -
不明 - - -

 ※肺炎の重症度分類「A-DROP」スコアを用いて分類しています。
  Age…男性70歳以上、女性75歳以上
  Dehydration…BUN 21mg/dL以上または脱水あり
  Respiration…SpO2‹=90%(PaO2 60Torr 以下)
  Orientation…意識障害あり
  Pressure…収縮期血圧90 mmHg以下
   5点満点で、1項目該当するごとに1点
  軽症:0点 中等症:1~2点 重症:3点 超重症:4~5点 ただし、ショックがあれば1項目のみでも超重症

18歳以上で、肺炎球菌など主に細菌性の肺炎が集計の対象です。ウイルス性や誤嚥による肺炎は含まれておりません。
また、市中肺炎とは日常生活をしている人に発症した肺炎をいいます。

入院患者さんのほとんどが緊急入院です。中等症が最も多く全体の約65%を占めています。
中等症以下の場合が多いですが、全体の1/4は重症および超重症です。
重症度が上がるにつれて平均年齢も上がり、平均在院日数も延びる傾向にあります。
体力・免疫力が低下した高齢者では症状が急激に進行することもあるので、いつもと様子が違うなど気になる症状があれば早めに受診しましょう。

脳梗塞の患者数等

ファイルをダウンロード

発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
- 100 20.52 77.11 45.00

脳梗塞は脳卒中の一つで、脳の血管が詰まる病気です。
脳卒中は日本人の死亡原因の上位であり、死亡は免れたとしても重い後遺症が残り介護が必要となることが多い疾患です。
脳卒中の治療は早ければ早いほど効果が上がります。
しびれる、ろれつが回らないなど脳卒中が疑われる症状があれば、一刻も早く受診をしましょう。
当院では、脳神経外科と救急診療科・放射線科・リハビリテーション科等が連携し診療を行っています。
およそ94%と殆どが発症日から3日以内の入院です。
発症からの時間など条件を満たせば、薬で血栓を溶かしたり、カテーテルを血管に通して血栓を取り除く緊急治療を行います。
入院患者の45%は引き続きリハビリ等のため転院されています。

診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

ファイルをダウンロード

内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均
年齢
患者用
パス
K6121イ 末梢動静脈瘻造設術 内シャント造設術 単純なもの 10 15.20 24.40 30.00 75.10
K616-41 経皮的シャント拡張術・血栓除去術 初回 - - - - -
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 - - - - -

末梢動静脈瘻造設術は、末期腎不全で血液透析が必要となった時に行う手術です。
血液透析を受けるためには、1分間に約200mlの血液を体外にとり出さなくてはなりません。
普通の静脈では不可能なため、一般的に上肢の動脈と静脈をつないで太い血管(内シャント)を作成することにより、
血液透析が可能となります。
手術は、心臓血管外科の医師により行われます。

外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均
年齢
患者用
パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 107 1.17 7.68 8.41 69.32
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 42 1.43 2.98 0.00 74.98
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) 32 0.75 4.09 0.00 42.72
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 24 3.25 13.58 4.17 75.33
K4763 乳腺悪性腫瘍手術 乳房切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 21 1.05 6.90 0.00 66.19

当科では、麻酔科の協力のもと『キズが小さく痛みの少ない患者さんに優しい腹腔鏡手術』をあらゆる領域で積極的に取り入れており、
その比率は他院と比べてもかなり高いものとなっています。
さらに胆嚢摘出術に対しては、従来の腹腔鏡手術に比べても術後疼痛と整容性の面で優れている単孔式手術を行っています。
乳がんの治療は、がんの進行度や性質、それに加えて患者様の希望をふまえて治療方針を決定いたします。
主な手術には、「乳房部分切除術(乳房温存手術)」と「乳房全切除術」があります。
また手術で乳房を大きく切った場合、形成外科と連携し整容性と根治性を両立した乳房再建手術を行っています。

整形外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均
年齢
患者用
パス
K0461 骨折観血的手術 肩甲骨、上腕、大腿 105 2.31 32.66 55.24 79.01
K0811 人工骨頭挿入術 肩、股 71 1.87 35.52 57.75 83.04
K0462 骨折観血的手術 前腕、下腿、手舟状骨 46 3.07 10.63 6.52 65.76
K0483 骨内異物(挿入物を含む。)除去術 前腕、下腿 43 1.05 1.88 0.00 57.51
K0821 人工関節置換術 肩、股、膝 30 1.67 28.13 23.33 69.73

高齢化を反映して、大腿骨近位部骨折が増加しています。
麻酔科の協力のもと当日緊急手術を含め受傷後数日以内に臨時手術が可能です。
術後は急性期リハビリテーションを提供し早期復帰を支援しています。
大腿骨近位部骨折とは、脚の付け根(股関節)で生じた骨折を言います。
大腿骨(ふとももの骨)の一番上の球形をしている部分を骨頭と呼び、そのすぐ下の細くなった部分を頚部と呼びます。
頚部はさらに太くでっぱった部分につながり、このでっぱった部分を転子部と呼びます。
骨折の部位により、大腿骨頚部骨折や大腿骨転子部骨折と言います。
手術は骨折の部位によっても異なりますが、主に骨接合術(表中1番目に多い手術)か人工骨頭置換術(表中2番目)のいずれかの方法で行われます。
骨接合術は、骨を金属などの器具で固定して、骨折部分をくっつける手術です。
人工骨頭置換術は、骨折した頚部から骨頭までを切除して、そこを人工物に置き換える手術です。
また、骨折した骨が癒合し固定していた金属を除去する手術(抜釘術)も行っています。(表中4番目)
抜釘術をしないデメリットとしては、固定している金属の周囲の骨が弱くなったり、金属が原因で感染症を引き起こしたり、痛みがでて関節の可動域制限が残る可能性があります。
金属が原因で感染症を引き起こしたり、痛みがでて関節の可動域制限が残る可能性があります。
人工関節置換術とは、怪我や病気によって痛んだり変形した部分を取り除き、人工関節に置き換える手術です。(表中5番目)
近年増加している高齢者の大腿骨近位部骨折に対しては、早期手術と地域連携パスを活用した回復期リハビリ病院との診療連携により、安心で質の高い医療を提供する体制を構築しています。

脳神経外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均
年齢
患者用
パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 22 0.45 6.41 18.18 77.50
K6092 動脈血栓内膜摘出術 内頸動脈 11 7.36 12.73 18.18 78.27
K1771 脳動脈瘤頸部クリッピング 1箇所 10 2.50 30.10 40.00 61.00

慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術は、局所麻酔を行い頭蓋骨に小さな穴を開け、その穴からシリコン製のドレーンチューブ(体内に挿入し留置する管)を挿入し血腫を排出させ、場合によっては洗浄を行う手術です。
動脈血栓内膜摘出術は、内頚動脈の狭窄及び塞栓形成の原因である動脈硬化(プラーク)を外科的に切除する手術です。脳へ血液を送る内頚動脈が狭くなり、そこに血栓が飛んできて詰まってしまうと血管側の脳が広範囲に壊死してしまいます。
これを未然に防ぐために内頚動脈を切開しプラークを取り除く手術です。
脳動脈瘤は、脳血管の枝分かれ部分にできるコブや紡錘形に膨れた部分で、脳血管の壁が弱くなることで形成されます。未破裂の状態では無症状であることが多いですが、一度破裂しくも膜下出血を起こせば約半数が死亡してしまいます。
このため、破裂する危険がある未破裂脳動脈瘤について、開頭し脳動脈瘤の根元をクリップで閉鎖する手術を「脳動脈瘤頚部クリッピング術」といいます。

呼吸器外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均
年齢
患者用
パス
K514-22 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 区域切除 21 2.52 7.71 4.76 69.33
K5131 胸腔鏡下肺切除術 肺嚢胞手術(楔状部分切除によるもの) 11 3.36 5.45 0.00 43.91
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 部分切除 - - - - -

「患者さんに優しい治療」をモットーに、呼吸器外科の手術に関しては、ほとんどが胸腔鏡での侵襲の少ないアプローチで行っております。
胸腔鏡を使用することにより、からだへの負担が少なく早期の社会復帰が可能です。
患者さんの様々なニーズに対応し、肺がんから気胸まで最適な治療を提供して参ります。

心臓血管外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均
年齢
患者用
パス
K6121イ 末梢動静脈瘻造設術 内シャント造設術 単純なもの 20 1.30 2.15 0.00 69.20
K597-2 ペースメーカー交換術 12 1.00 3.67 0.00 79.50
K617-4 下肢静脈瘤血管内焼灼術 10 1.00 1.00 0.00 68.20

末梢動静脈瘻造設術は、腎不全に対する代替え療法として行う人工透析に必要なシャントを作成する手術です。
一般的には上肢の動脈と静脈を吻合して内シャント(太い血管)を作成することにより、人工透析が可能となります。
ペースメーカー交換術は、設置したペースメーカーのバッテリー消耗等に対し行う手術です。
下肢静脈瘤血管内焼灼術は、下肢静脈瘤に対して非常に径の細い光ファイバーを静脈に挿入し、その先端から高周波光を照射して、内側から静脈を閉塞する治療法です。
当院では、低侵襲な高周波血管内焼灼術とグルー治療を導入しております。

眼科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均
年齢
患者用
パス
K2821ロ 水晶体再建術 眼内レンズを挿入する場合 その他のもの 230 0.00 1.00 0.43 77.38
K2191 眼瞼下垂症手術 眼瞼挙筋前転法 - - - - -
K2822 水晶体再建術 眼内レンズを挿入しない場合 - - - - -

白内障の手術が最も多いです。
白内障手術は、水晶体の濁りを取り除き、人工の水晶体を移植する手術を行います。
白内障の進行や他の合併症の有無によって個人差がありますが、通常の場合、手術時間は10~30分程度となっています。
入院期間は片眼で1泊2日です。また、健康な方で家族の協力が得られ通院が可能な方であれば日帰り手術も選択できます。
白内障の手術件数が圧倒的に多いですが、そのほか眼瞼手術や翼状片手術なども行っています。

泌尿器科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均
年齢
患者用
パス
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 電解質溶液利用のもの 50 1.88 4.30 2.00 75.28
K7811 経尿道的尿路結石除去術 レーザーによるもの 45 2.20 5.04 2.22 64.00
K8411 経尿道的前立腺手術 電解質溶液利用のもの 24 1.63 6.00 0.00 74.21
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 23 0.83 11.30 4.35 78.22
K843-4 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの) 12 2.67 9.00 0.00 73.17

最も多い手術症例は、早期膀胱癌に対して尿道から内視鏡を挿入し、腫瘍部分を切除する症例です。
次いで腎結石や尿管結石に対して尿道から内視鏡を腎、腎盂または尿管内に挿入し、電気水圧衝撃波、超音波またはレーザーなどで結石を破砕し摘出する症例です。
3番目に多い症例として前立腺肥大症に対して尿道から内視鏡を挿入し、電解質溶液を利用して肥大した前立腺を尿道粘膜とともに切り取る症例です。
4番目に多い症例として結石などによる理由で尿管が狭くなったものに対して、尿道から内視鏡を挿入し狭くなった箇所にステント(チューブのようなもの)を留置し、尿管を広くする症例です。
尿管ステントは必ず抜去する必要があるため、術後数日から2週間程度で抜去します。
5番目の症例ですが、当院では2014年6月より「ロボット支援腹腔鏡下根治的前立腺全摘除術」を開始、 2022年12月には最新機器「da Vinci Xi」を導入し、より安全に手術が行うことが可能となりました。
ロボット支援手術は、ロボット支援技術を加えることで複雑な手術手技をより安全に行うことを可能にした手術機器です。
患者さんにとっては、傷口が小さい・出血量が少ない・術後の痛みが軽く早期の社会復帰が可能というメリットがあります。
また、適応症例には腎がんもロボット支援手術を行います。

循環器内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均
年齢
患者用
パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術 その他のもの 71 1.87 2.58 0.00 72.52
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術 心房中隔穿刺又は心外膜アプローチを伴うもの 27 1.93 3.26 0.00 70.74
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 26 1.92 5.19 0.00 80.35
K5463 経皮的冠動脈形成術 その他のもの 19 1.47 2.11 0.00 72.74
K5972 ペースメーカー移植術 経静脈電極の場合 14 5.93 10.71 0.00 84.21

経皮的冠動脈ステント留置術、経皮的冠動脈形成術は、狭心症や心筋梗塞に対して、その原因となっている冠動脈の狭窄・閉塞部を血管の中からバルーンおよび、 ステントで拡張する治療です。
経皮的カテーテル心筋焼灼術は心房細動・粗動や上室性頻拍や心室性頻拍発作などの不整脈に対して、血管の中から特殊なカテーテル(アブレーションカテーテル)を 心臓内に到達させ、カテーテルから高周波電流を流し不整脈の回路を焼灼することによって発作の元を封じる治療です。
四肢の血管拡張術・血栓除去術は、下肢の歩行障害や血流不全や足指の難治性潰瘍、腎性高血圧に対して、その原因となっている動脈の狭窄・閉塞を血管の 中からバルーンやステントで拡張する治療です。
ペースメーカー移植術は、心臓に血液が戻る静脈を使って、ペースメーカー本体と心臓との間をつなぐためのリード(導線)を心臓の内部へ挿入し、心臓の収縮のタイミングのズレを補正して、心臓本来のポンプ機能を取り戻すための手術です。
心臓停止や急性心筋梗塞、致死性不整脈、重症肺塞栓、急性心不全などの患者さんにERおおつ、ICUと連携して24時間、365日対応し、目の前の命を救い、そして急性期を乗り切った後の社会復帰や歩いて自宅退院できることを 目指し治療を行っています。

消化器内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均
年齢
患者用
パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 長径2cm未満 241 0.45 1.51 0.41 70.36
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 76 2.21 16.36 10.53 81.28
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 早期悪性腫瘍胃粘膜下層剥離術 63 0.98 7.43 0.00 75.27
K721-4 早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術 43 0.91 5.37 0.00 69.63
K6871 内視鏡的乳頭切開術 乳頭括約筋切開のみのもの 35 2.14 13.14 5.71 76.06

内胸的大腸ポリープ切除術は、内視鏡の先端にスネア(輪状のワイヤー)をセットし、大腸のポリープに対してスネアを引っかけて切除、または高周波電流によって切除する手術であり、消化器内科で最も多い手術です。
内視鏡的胆道ステント留置術は、総胆管結石、胆管がんなど何らかの原因で胆道が狭くなり胆汁の流れが滞ることで黄疸や細菌感染症(胆管炎)が生じてしまうため、胆汁を腸管へ流すために内視鏡にてステント(チューブのようなもの)を留置する手術です。
内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 早期悪性腫瘍胃粘膜下層剥離術は、早期胃癌に対し内視鏡にて粘膜下層まで一括で切除する手術です。早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術は同様の手術を早期大腸癌に対して行う手術です。(消化管壁の構造は、内側から粘膜、筋層、漿膜の3層から構成され、粘膜下層は粘膜と筋膜の間の層です。)
内視鏡的乳頭切開術とは、十二指腸乳頭部(総胆管の十二指腸への出口)を広くする目的で、乳頭部を内視鏡を通して挿入した電気メスで切開したり、バルーン(小さな風船)を入れて膨らませることで乳頭部を拡張する手術です。

その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

ファイルをダウンロード

DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 31 0.47
異なる 26 0.39
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 33 0.50
異なる - -

◆敗血症
敗血症の原因は感染です。細菌などの微生物による感染により生じた炎症が、発熱や脈・呼吸が速くなるなど全身に影響を及ぼします。
高齢者や悪性腫瘍・糖尿病・自己免疫性疾患などの病気がある方は、敗血症になるリスクが高くなります。
ICUでの全身管理が必要な場合もあり、重症になると肺・循環・腎臓・肝臓など多数の臓器が障害され死に至る場合があります。
当院では、発症患者の2割程度が死亡退院となっています。

入院契機と「同一」とは、入院時には発症しておりその病気を治療目的として入院した場合、入院契機と「異なる」とは、併発していたか入院中に発症した場合などが考えられます。
前年度(2022年度)と比べて症例数および発生率は、減少しています。

◆手術・処置等の合併症
手術・処置後の合併症には細心の注意を払っておりますが、どうしても一定の割合では起こり得ます。
ただし、合併症といっても術後の出血や縫合不全・創部感染といったものだけではなく、
この分類の中には、透析シャント狭窄や人工関節のゆるみなど時間の経過とともに起きてしまうものも含まれます。

入院契機と「同一」とは手術・処置後後日入院となった場合、入院契機と「異なる」とは入院中に発症した場合などが考えられます。

リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率

ファイルをダウンロード

分母:肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが

「中」以上の手術を施行した

退院患者数

分子:分母のうち、肺血栓塞栓症の

予防対策が実施された患者数

リスクレベルが「中」以上の手術を

施行した患者の肺血栓塞栓症の

予防対策の実施率

698 681

97.56

肺血栓塞栓症とは、下肢の深部静脈にできた血栓が血流によって肺まで運ばれ、肺動脈に血栓が詰まってしまう重篤な病気です。
手術を受けられる患者さんは、手術後ベッド上で安静にしていることから血栓ができやすく、肺血栓塞栓症を発症する危険性がより
高くなります。
これを予防するために、弾性ストッキングの装着や間歇的空気圧迫装置の使用、抗凝固療法などを術式や患者さんの状態にあわせて
実施します。
周術期の肺血栓塞栓症の予防対策の実施は、発生率を下げることにつながります。
実施率が高いほど積極的に予防対策ができているといえます。

血液培養2セット実施率

ファイルをダウンロード

分母:血液培養オーダー日数

分子:分母のうち、血液培養オーダーが

1日に2件以上ある日数

血液培養2セット実施率

3677 3257

88.58

血液培養検査の目的は、血液中に侵入した細菌や真菌などの起因菌を検出することです。
広域抗菌薬を使用する際、投与開始時に血液培養検査を行うことが望ましいとされています。
血液培養は、1セットのみの場合に偽陽性となることがあり、精度の高い結果と過剰治療を防ぐために2セット以上行うことが推奨されています。

広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率

ファイルをダウンロード

分母:広域スペクトルの抗菌薬が

処方された退院患者数

分子:分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日

までの間に細菌培養同定検査が

実施された患者数

広域スペクトル抗菌薬使用時の

細菌培養実施率

474 435

91.77

近年、多剤耐性アシネトバクター属菌や幅広い菌種に効果を有するカルバペネム系抗菌薬に耐性のある腸内細菌科細菌など、新たな抗菌薬耐性菌が出現し、難治症例が増加していることが問題となっています。
不適切な抗菌薬の使用は、耐性菌の発生や蔓延の原因になります。
抗菌薬適正使用の鍵を握るのは正確な微生物学的診断であり、抗菌薬投与前の適切な検体採取と培養検査が必要です 。
当院においても、抗菌薬適正使用支援チーム(AST)が週1回カンファレンスを行い、抗菌薬使用量の把握や微生物検査の体制整備など抗菌薬の適正使用に関する活動をしています。

更新履歴

2024/9/30

2023年度DPCデータに基づく『病院情報の公表』アップしました。