神経難病とは神経の病気の中で、はっきりとした原因や治療法がないものをいいます。具体的には運動ニューロン病(筋萎縮性側索硬化症、脊髄性筋萎縮症など)、脊髄小脳変性症(脊髄小脳萎縮症、他系統萎縮症など)、多発性硬化症、重症筋無力症、パーキンソン病、進行性核上性麻痺などがあります。原因がわからないといっても途中まではわかっているものや、根本的に直すことは難しいけれども、日常生活が可能になるような治療があるものもあります。神経難病といっても治療が有効なものと難しいものとがあります。直接治療法がなくとも医療がかかわることで少しでも生活しやすくすることはできます。また、この分野は日進月歩です。次々に新しい治療も開発されていますので、あきらめないで脳神経内科にかかってください。
日本神経学会HPより
神経難病は、身体の限局した部位の機能が障害されていくというより、歩行や言語、視力や感覚、嚥下や排泄といった人間の生活の基本となる機能が障害されます。また、認知機能障害や精神症状を伴う疾患もあります。その結果、療養者の受ける肉体的障害や社会的困難、精神的負担が大きいのみならず、 介護者の身体的、精神的、経済的負担も大きくなります。しかも、通常慢性進行性の経過をたどったり、後遺症を残すことが多いため、療養者ならびに家族の負担は計り知れないものがあります。また、現在の医学水準でも診断の精度は100%とはいえず、死後の脳・神経病理診断で確定されることもあります。
当院では滋賀県の神経難病医療に貢献すべく、以下のことに取り組んでいます。
入院部門は本館棟6階に20床の神経難病治療センターを開設しています。神経難病の療養を考慮した3モーター電動ベッド、移動支援器具や発語が困難な患者さんのためにトーキングエイドを用意しています。検査機器として、神経・筋の機能を非侵襲的に調べる誘発筋電計・筋電図装置、磁気刺激装置やビデオモニター下での脳波計を設置しています。嚥下障害に対しては、栄養サポートチーム(NST)による評価・回診のもとに、嚥下障害の程度にあわせて段階的な嚥下支援食を用意し、嚥下訓練を行っています。また、リハビリ部門では、在宅での療養を念頭にいれ、継続可能な機能訓練の個別指導も行う指針です。
以下の31疾患が神経難病治療センター(6A病棟)の主な入院対象疾患です。
外来部門では本館棟2階脳神経センター外来で日本神経学会認定医の資格を持った脳神経内科専門医が診療にあたります。また 脊髄空洞症などの脳神経外科的疾患では専門の脳神経外科医が外来を担当します。また、診療所や地域病院からの紹介には 地域医療連携室が事務窓口になり円滑な受診ができるように配慮しています。
調査・研究部門を設置し、神経難病の治療や看護に関する臨床的研究・調査を行い、最新の知見を収集し、その成果や情報を患者さんやご家族に還元し、神経難病の治療法や看護技術の進歩に貢献します。
リハビリテーション部門は、運動療法、言語療法、作業療法からなる総合リハビリ(脳血管Ⅰ)であり、個別性の高い集約的なリハビリ評価・訓練を行います。また、ベテラン薬剤師より、薬剤に関してのきめ細かな説明を行い、毎週、これら医療関連全職種が病棟回診に定期参加し、個別性を配慮した医療・ケアの提供に努めています。さらに病院付属施設として、在宅療養を支援する訪問看護ステーションがあります。
医療・介護・看護必要度の高いケースでは、退院後の療養支援や医療連携を円滑に進めるため、患者さん・ご家族、在宅療養を支援する病院内外の医療・看護・介護スタッフによる10数名規模のチームケアカンファレンスを入院中に開催しています。神経難病医療には地域の医療機関や保健・介護機関との連携が欠かせないので地域医療連携室が連絡調整にあたります。
役職 | 所長 (脳神経内科診療部長兼務) |
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学会認定医等資格 | 日本神経学会認定神経内科専門医・指導医、日本内科学会認定内科医、日本認知症学会認定専門医 |
役職 | 医長 (脳神経内科医長兼務) |
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学会認定医等資格 | 日本内科学会認定内科医、日本神経学会認定神経内科専門医・指導医、日本臨床神経生理学会認定医(脳波分野、筋電図・神経伝達分野) |
役職 | 医長 (脳神経内科医長、健診センター医長、リハビリテーション部医長兼務) |
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学会認定医等資格 | 日本神経学会認定神経内科専門医・指導医、日本内科学会認定内科医・総合内科専門医 |